1999 Fiscal Year Annual Research Report
アップルペクチンによる肝転移抑制メカニズムの解析-特に門派血活性酸素変動との関連
Project/Area Number |
10671106
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田澤 賢次 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (80018887)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹森 繁 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (30227061)
|
Keywords | アップルペクチン / 大腸癌予防 / ペクチン / 食物繊維 / 大腸癌発生 / 活性酸素 / ハイドロキシラジカル / スーパーオキサイドアニオンラジカル |
Research Abstract |
AOM誘発大腸発癌抑制と転移抑制作用が明らかになったアップルペクチンについて、メカニズムの一つとして活性酸素に対する抑制効果を明らかにするため、アップルペクチン由来のオリゴ糖、特に、重合度別の抑制効果と加熱処理別およびメトキシル化度別による抑制変化の分析を行った。 アップルペクチン由来のオリゴ糖はbioreacterによる分解産物を用い、平均重合度により、S,M,L,LLの4群に分け、S分画においては加熱時間別、加熱温度別に分析した。高メトキシルと低メトキシルについても加熱処理前と加熱処理後とに分けた。試料は2.0mg/mlに調製して使用した。活性酸素は、・O_2と・OHを測定の対象とした。・O_2の発生系には、HPX-XOD反応を用い、・OHの発生系にはFenton反応を用いた。測定方法には、ラジカルをトラップ剤で捕捉し、ESR法を用いた。信号強度は、内部標準であるMnOに対する相対強度として算出し、超純水をコントロールとして用い、活性酸素抑制率を求めた。SOD標準キッドを用いて、検量線の作成を行い、相当する濃度を試料のSOD様活性とした。 高メトキシルと低メトキシルのS,M,L,LLの分画を加熱したものはすべて・O_2及び・OH抑制率が高くなった。高メトキシルの・O_2抑制率(%)は121℃30分の加熱処理により、Sは25.7より50.4、Mは20.5より36.9、Lは12.9より25.4、LLは19.7より31.9と増強し、・OH抑制率(%)は、Sは73.1より87.1、Mは20.4より46.5、Lは18.5より40.1、LLは6.8より21.9であった。低メトキシルの・O_2抑制率(%)はSは19.6より56.1、Mは20.6より43.8、Lは14.1より34.8、LLは、10.0より25.8に、・OH抑制率(%)は、Sは39.5より91.2、Mは39.0より85.2、Lは51.8より70.5、LLは24.8より40.3であった。SOD様活性も加熱により増強した。S分画の加熱時間別では、時間とともに増強し、温度別では・OH抑制率は120℃より急激に増加した。・O_2抑制率でも、120℃に加熱したものが有意に高くなった。 【総括】 アップルペクチン由来のオリゴ糖重合度別による各分画の120℃加熱処理は・O_2及び・OH抑制率の著明な増強が明らかにされた。活性酸素抑制効果は、小さい重合度がより高く、また、高メトキシルと低メトキシルでも120℃加熱処理したものが抑制効果がすこぶる高くなることが初めて明らかにされた。特に、S分画には顕著な活性酸素抑制を認め、今後、in vivoによる効果を検討する予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 田澤賢次他: "アップルペクチンの大腸癌発生抑制-ペクチンから抽出されたオリゴ糖の活性酸素抑制について"Biotherapy. 13. 510-512 (1999)
-
[Publications] 田澤賢次他: "食物繊維と腸内フローラ-大腸癌を中心にして"栄養評価と治療. 16. 379-384 (1999)
-
[Publications] 半明敬子,田澤賢次他: "アップルペクチン由来オリゴ糖の活性酸素抑制に関する研究"富山医科薬科大学看護学会誌. 2. 7-16 (1999)
-
[Publications] 田澤賢次: "玄米発酵食品の活性酸素消去活性"Food Style 21. III. 32-37 (1999)
-
[Publications] M.Ohsugi,K.Tazawa.et al: "Active-oxygen scavenging activity of traditional nourishing-tonic herbal medicines and active constituents of Rhodiola sacra"Journal of Ethnopharmacology. 67. 111-119 (1999)
-
[Publications] 田澤賢次: "食品成分と癌の制御"東方医学. 15. 23-31 (1999)
-
[Publications] 田澤賢次: "新しい癌免疫化学療法の指診-QOLを重視した癌薬物療法"医薬ジャーナル社. 7(66〜71) (1999)
-
[Publications] 田澤賢次: "平成10年度青森県地場産業技術研究開発費補助事業報告書"青森県オリゴ糖利用研究開発協同組合. 8(40〜47) (1999)