1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝虚血再灌流障害の機序の研究(細胞間接着分子の関与について)
Project/Area Number |
10671110
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
今村 宏 信州大学, 医学部 附属病院, 助手 (00283268)
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Keywords | 虚血再灌流障害 / 接着分子 / CD11b / CD18(Mac-1) / ICAM-1 |
Research Abstract |
【はじめに】 肝移植の臨床上大きな問題となっているprimary non function(PNF)の背景となるメカニズムである虚血再灌流障害(ischemia/Reperfusion Injury;I/R Injury)の機序について特に接着分子との観点から検討した。好中球はCold I/R Injuryにおいて重要な役割を果たしているとされるが、その類洞へのmigrationは、好中球上のCD11b/CD18(Mac-1)やそのリガンドであるICAM-1のupregilationが大きな役割を果たしているとされる。今年度の研究ではratのI/Rモデルを用いてこれらの接着分子の経時的変化を検討した。 【方法】 ratはWister系の雄を用い肝虚血中の腸管の鬱血を防ぐために実験の4週間前に脾臓の皮下植え込み術を施行したものを用いた。最初の実験では30分と60分のI/R後のratの生存率を調べた。次の実験では30分と60分のI/R後のそれぞれの接着分子の発言の経時的な変化を調べた。Mac-1の発現はFlow cytometryで計測、ICAM-Iの発現は免疫染色を施行後、染色強度を半定量的に計測して検討した。 【結果】 30分及び60分のI/R後のratの生存率は100%および50%であった。30分のI/R後6時間で、Mac-Iの発現はピークに達し(前置の140%)そののち全観察期間を通じて持続した。60分のI/R後はMac-Iの発現は時間とともに上昇し24時間後には前置の183%に達した。ICAM-Iの発現は30分60分のI/Rとも3時間後に同様のピークを迎え以後漸減傾向を示した。 【結論】 Mac-Iの好中球上の発現は発現はI/Rによりupregulateするがその程度は虚血時間に依存していると考えられた。一方、ICAM-Iの発現もI/Rにより上昇するがその程度は虚血に依存せずまた経時的な変化も示さなかった。
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[Publications] Imamura H et al.: "Preoperative portal vein embolization:an audit of 84 patients." Hepatology. in press. (1999)
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[Publications] Nakayama A et al.: "Proximal bile duct stricture disguised as malignant neoplasm" Surgery. in press. (1999)