2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671114
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鍬方 安行 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50273678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
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Keywords | 酸素運搬量 / 酸素消費量 / 酸素代謝 / 敗血症 / サイトカイン / Interleukin-1β / ショック |
Research Abstract |
昨年度までの研究実績をふまえ、本年度はinterleukin-1β(IL1)がウサギに惹起する末梢血管抵抗減弱型ショックによって、酸素運搬量(DO_2)-消費量(VO_2)関係のsupply-independent lineを急峻化させて生じる酸素代謝異常が、dopamineの投与およびこのモデルにおける血管拡張メディエータ阻害剤であるibuprofen(ibu)によっていかなる影響をうけるかを明らかにした。平成10年度に完成したウサギ可変心拍出量モデルを用い、第一実験では比IL1 10μg/kg投与による末梢血管抵抗減弱型ショックを誘導したのちdopamine(dopa)20μg/kg/min持続投与する群(IL+dopa)と、IL1を投与せずdopaのみを投与する群(dopa)のDO_2-VO_2関係を解析した。第二実験ではIL1 10μg/kgを投与する群(IL)、IL1投与後ibu10mg/kgを投与する群(IL+ibu)、 IL1もibuも投与しない群(control)のDO_2-VO_2関係を解析した。IL+dopa群、dopa群とも心拍出量増加によりbaseline DO_2は約25%増加した。IL+dopa群の血圧はdopa群より有意に低くIL1による末梢血管抵抗減弱型血行動態はdopaにより改善されなかった。IL+dopa群のsupply-independent lineは、dopa群より有意に勾配が急峻で、DO_2-VO_2関係の異常はdopaによるDO_2増大後も改善されなかった。一方、IL+ibu群は、IL1投与による血圧の低下がibu投与により速やかに改善し、実験値測定開始時には血圧はcontrolと同等にまで回復し、末梢血管抵抗減弱型の血行動態はibuにより完全に是正された。DO_2-VO_2関係では、IL1群のsupply-independent lineはcontrolに比べ有意に急峻だか、IL+ibu群のsupply-independent lineはより平坦になり、controlと有意差を認めなかった。これらの結果は、末梢血管抵抗減弱型ショック時の酸素代謝異常の是正には、DO_2の増大ではなく、末梢血管抵抗の制御に焦点を絞った治療こそが重要であることを示唆している。
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