1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671129
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00245044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 好則 自治医科大学, 医学部, 助手 (30275698)
藤村 昭夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (90156901)
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Keywords | 遺伝子治療 / 遺伝子銃 / 局所治療 / 固形癌治療 |
Research Abstract |
昨年度の皮下固形癌モデルの検討に続き、吉田肉腫細胞で肝転移モデルを作製した。しかし、本癌腫による肝転移巣は非常に小さく、白色調の変化が中心であり、結節数の測定が困難であったため、以後の転移モデルでは結節形成傾向の強いAH-130細胞を用いた。 ラットをエーテル麻酔下に開腹し、4×10^5個のAH-130細胞、注入総量0.5ccを27G針で回結腸静脈を介して門脈に注入し、肝転移モデルを作成した。14日目に再開腹して転移巣を確認した後に、遺伝子銃を用いてIL-12遺伝子3μgを転移巣を含む肝表面に射入した。16日目にも同様に遺伝子導入を行い、ラットの生存日数を記録した(IL-12治療:n=6、コントロール:n=4)。また、AH-130(2×10^5個)をラットの回盲部の腸間膜リンパ節に直接注入し、リンパ節転移モデルとした。7日目に開腹し、同部位に腫瘤が形成されていることを確認した後に、遺伝子銃を用いてIL-12遺伝子を腫瘤に2μg射入した。9日目にも同様に遺伝子導入を行った(IL-12治療:n=6、コントロール:n=3)。 肝転移モデルの検討では、コントロール群が7週の経過で75%死亡したのに対し、IL-12遺伝子を射入した治療群では1例が3週目に死亡したのみであり、有意の延命効果が認められた(p<0.05)。また、リンパ節転移モデルでは、初回射入時(AH130注入後7日目)では腫瘍は平均1×1×1.5cmに達していた。IL-12治療群により長期生存例が得られたものの、本治療プロトコールでは、治療群とコントロール群の生存日数に統計学的有意差は認められなかった。 本実験から、リンパ節転移よりはむしろ肝転移でのIL-12遺伝子局所導入の有効性が示唆された。今回のリンパ節転移モデルでIL-12治療効果が得られなかった原因として、遺伝子導入早期に死亡した例が多いことより、治療の開始時期の遅れが考えられた。また、癌で置換されたリンパ節には、IL-12導入で賦活され得るリンパ球系が減少していたため、IL-12遺伝子導入の効果がなかったことも推測される。一方、肝転移モデルでは、肝全体が腫瘍で置換されることはなく、しかも肝にはNK-T細胞などのIL-12の導入できわめて高い抗腫瘍効果を示す細胞群が存在しているため、IL-12遺伝子導入が著効したと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小林英司: "Gene gun を用いた遺伝子導入"Surgery Frontier. 6(2). 91-98 (1999)
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[Publications] Hosoya Y, et al: "Introduction of cytokine gene into rat neoplasm with a hand held gene gun. II. Local bombardment of IL-12 DNA plasmid on liver metastasis"Ann. Cancer Res. Ther.. (in press). (2000)