1998 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインならびにその受容体からみた肝臓移植後急性拒絶反応の早期診断法
Project/Area Number |
10671131
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
星野 健 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70190197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50142419)
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Keywords | 生体肝移植 / 急性拒絶反応 / リンパ球サブセット / CD25 / IL-2 / IL-2R |
Research Abstract |
対象と方法:小児生体部分肝移植症例8例を対象とし、移植肝吸引細胞診(transplant aspiration cytology:TAC)および末梢血を経時的に採取した。リンパ球サブセット解析の試料としてTAC用検体および末梢血を用い、モノクローナル抗体(CD4,8,25,HLA-DR)と反応させ、FACSscanにて測定した。結果:1)臨床上5回の拒絶反応を認めた。mild rejectionであった4例については CD25陽性細胞は3〜5%の増加を認めたのみであったが、CD8+DR+細胞は拒絶反応の3〜5日前から10%以上の増加を認めた。しかし、遷延するウイルス感染の際にもCD8+DR+細胞は増加傾向となった。2)severe rejectionを1例に認めたが、この際にはaspirate中のCD25陽性細胞(特にCD4陽性細胞)、DR陽性細胞(特にCD4陽性細胞)の15〜20%の増加をみた。3)non-immunological damage(血管、組管合併症)を3回経験したが、この際には活性化リンパ球の増力はみられなかった。4)aspirate中のCD8+DR+細胞は拒絶反応の3〜5日前の段階で、すでに10%以上の増加を認めており、末梢血中のそれよりも有意に(p<0.05)高値を示した。 まとめ:術後の免疫学的モニタリングとして、FACSを用いたグラフト内のactivated lymphocytesを経時的に測定することにより、グラフト機能をより詳細に把握することが可能であると考えられた。 現在、末梢血検体を用いてmRNAレベルでのIL-2、IL-2Rを測定しており、FACSで得られたCD25陽性細胞の発現との相関について検討を加える予定である。
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