1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌遺伝子治療:癌抑制遺伝子p53に対するアンチセンスの抗癌剤感受性増強効果
Project/Area Number |
10671133
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川村 雅文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70169770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
儀賀 理暁 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60276269)
久保田 哲朗 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00118944)
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Keywords | 抗癌剤 / 感受性試験 / p53 / アンチセンス / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、癌抑制遺伝子であるp53に対するアンチセンスが抗癌剤の感受性を増強することができるか否かを研究することを目的としている。このためには、切除肺癌組織や生検リンパ節あるいは悪性胸水細胞などから組織培養系を作成し、抗癌剤感受性試験が行えること、更にこの感受性試験が臨床における抗癌剤の奏効率を反映していることが必要である。本研究では、組織培養にはコラーゲン3次元マトリクス法(collgen droplet embedded drug sensitivity test:CDDST法)を用いた。平成10年度は以下の検討を行い、結果を得たので報告する。 (1) 切除肺癌組織、気管支鏡下生検組織、縦隔リンパ節生検組織、悪性胸水心嚢液を用いてCDDST法を行った場合の抗癌剤感受性試験の測定成功率を明かにし、改善の余地がないか検討する。 (結果) 切除肺癌組織(n=43):測定成功率88.4%、気管支鏡下生検組織(n=22):測定成功率36.4%縦隔リンパ節生検組織(n=30):測定成功率66.7%、悪性胸水、心嚢液(n=12):測定成功率84.6%(改善点)気管支内腫瘍、リンパ節転移巣における腫瘍細胞の密度は原発巣よりかなり低く細胞の活性も低いので、培養が困難な場合が多い。十分な量の生検組織をとるしかない。 (2) CDDST法が示す抗癌剤感受性と実際の臨床における抗癌剤の奏効の一致率の検討 (結果) 評価可能病変を有し抗癌剤感受性試験で感受性薬剤が有りそれが実際に投与されたものは10例で、うちPR8例、NC2例で、感受性試験で有効薬剤がなく無効と判定された薬剤が投与された例ではNC2例、PDl例であった。CDDST法は臨床的に真陽性率80%、真陰性率100%、正診率85%であり、本研究の結果は臨床にフィードバックさせる価値があることが示された。 一方抗癌剤毎の陽性率(抑制率50%以上)はCDDP24.3%,DOC 30.8%,VP-16 16.9%,VDS 24.6%であり、感受性試験における接触薬剤濃度も実際の臨床における奏効率を表わすものとして適当と考えられた。 (3) CDDST法による抗癌剤感受性に影響しうる培養環境の検討 (結果) 細胞の経代培養は抗癌剤感受性に変化を来すものがみられた。 酸素濃度の変化でも同様の結果を得た。
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Research Products
(1 results)