1998 Fiscal Year Annual Research Report
癌悪性度評価に有用な新糖鎖抗原修飾シアリダーゼ遺伝子発現量の基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
10671151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 修吉 東北大学, 医学部, 助手 (50282075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 弘光 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80302123)
安藤 健二郎 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40261614)
佐山 淳造 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60292322)
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 講師 (20192106)
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Keywords | 食道癌 / シアリダーゼ / 悪性度評価 / シアル酸 |
Research Abstract |
大腸由来などの癌細胞では、シアリダーゼの減少が、細胞膜糖鎖のシアル酸含量の増加を起こし、悪性化に関与していることが明らかになっている。本研究では、食道癌の臨床材料を用い、遺伝子レベルおよび蛋白レベルでシアリダーゼの発現量を測定し、これらの測定データと臨床的な種々のパラメータとの相関を検討し、食道癌の臨床的悪性度評価の指標としてのシアリダーゼの有用性について検討することを目的とする。 現在までに、24症例の食道癌切除標本より食道癌原発巣および正常食道粘膜組織を採取、保存した。採取した癌および正常食道粘膜組織より、それぞれmRNAを抽出。抽出したmRNAよりcDNAを作製。このcDNAに対し、ライソゾーム型と形質膜型シアリダーゼに特異的なprimerを作製し、それぞれPCRを行なった。(RT-PCR)反応強度から、癌組織におけるシアリダーゼmRNAの発現量を正常食道粘膜を基準に半定量した。 同様に癌および正常食道粘膜組織より、ライソゾーム分画と形質膜分画の蛋白を分離精製した。それぞれの分画について、シアリダーゼ酵素活性を測定した。 今までの測定結果では、食道癌においては、正常食道上皮に比し、シアリダーゼ活性はライソゾーム型、形質膜型ともに増加して事が明らかとなった。中でもライソゾーム型の増加がより大きい傾向がある事が明らかになった。これらのデータは他の組織由来の癌細胞におけるシアリダーゼ活性の変化と異なるが、これが食道癌においてどのような生物学的意味を持つのかは、今後の検討課題である。 又、臨床面では、それぞれの症例につき、治療後のfollow upを定期的に行い、再発の有無、無病期間、術後予後などについての臨床的データを収集しつつある。 今後、さらにデータを蓄積し食道癌におけるシアリダーゼの発現と臨床データとの相関を検討していく予定である。
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