1999 Fiscal Year Annual Research Report
癌悪性度評価に有用な新糖鎖抗原修飾シアリダーゼ遺伝子発現量の基礎的・臨床的検討
Project/Area Number |
10671151
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮崎 修吉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50282075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺澤 孝幸 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10292319)
佐山 淳造 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292322)
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (20192106)
安藤 健二郎 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40261614)
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Keywords | 食道癌 / シアリダーゼ / 悪性度評価 / シアル酸 |
Research Abstract |
大腸由来などの癌細胞では、シアリダーゼ減少が細胞膜糖鎖のシアル酸含量の増加を起こし、悪性化に関与していることが明らかになっている。本研究では、食道癌の臨床材料を用い、遺伝子レベルおよび蛋白レベルでシアリダーゼの発現量を測定し、これらの測定データと臨床的な種々のパラメーターとの相関を検討し、食道癌の臨床的悪性度評価の指標としてのシアリダーゼの有用性について検討することを目的とする。 採取蓄積してきた食道癌切除標本の食道癌原発巣および正常食道粘膜組織よりそれぞれmRNAを抽出した。そのmRNAからcDNAを作製し、ライソゾーム型と形質膜型シアリダーゼに特異的なprimerにより、PCRを行った。その反応強度から、癌組織におけるシアリダーゼ発現量を正常食道粘膜を基準にmRNAレベルで半定量した。 その結果、食道癌組織では非癌組織に対し、ライソゾームシアリダーゼは平均で約4倍、形質膜シアリダーゼは約2倍の活性上昇が認められた。これは蛋白レベルでの活性レベルとほぼ同じ傾向であった。また、この活性上昇は組織を採取した各症例毎にある程度のばらつきがみられた。このデータと臨床病理学的パラメーターとの比較検討を行ったが、現在までのところ明らかな相関は得られていない。 また、ライソゾーム型シアリダーゼ遺伝子導入による遺伝子治療の可能性を探るため、マウスメラノーマB16細胞のうちで高浸潤・高転移能を有するB16BL細胞を用いてライソゾーム型シアリダーゼ遺伝子を導入し、細胞の特性の変化を探る基礎実験を行った。その結果、本遺伝子の安定発現株を4株得た。これらの細胞を用い、肺転移能および種々の細胞特性を観察した。その結果、肺転移能が約50%に抑制されていた。この抑制には、細胞増殖能の低下およびanchorage independencyの低下が関与している可能性が実験的に確かめられた。
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