1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的アプローチによる潰瘍性大腸炎における発癌機序の解明
Project/Area Number |
10671160
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Research Institution | The Univ. of Tokyo |
Principal Investigator |
篠崎 大 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10312315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 裕 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80301109)
渡辺 聡明 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80210920)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / Dysplasia / Microsatellite instability / APC / K-ras |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎(UC)関連新生物(UCAN)における遺伝子変化の状態を,一部の大腸癌において認められるマイクロサテライト不安定性(MSI)および散発性大腸癌において早期の段階で生じるとされるAPC(adenomatous polyposis coli)およびK-ras遺伝子について,15人のUC患者の31のUCAN病変を検討した.内訳は,8つの浸潤癌,15のhigh-grade dysplasia(HGD),8つのlow-grade dysplasia(LGD),および8つのlow-grade dysplasia(LGD)であった.DNAは各々の病変および隣接する正常組織から抽出した.9部位のMSI,APC遺伝子部位のLOH,K-rasコドン12の点突然変異を調べた.MSIは,4/31(13%)のUCAN(浸潤癌1/8(13%),HGD2/15(13%),LGD1/8(13%))でMSI-high(3か所以上)であり,12/31(39%)のUCAN(浸潤癌3/8(38%),HGD6/15(40%),LGD3/8(38%))でMSI-low(3か所未満)であった.APCのLOHは6人のヘテロ症例における9病変で認められなかった.K-ras変異率は,3/31(9.7%)(浸潤癌2/8(25%),HGD1/15(7%),LGD0/8)であった.MSIはUCANにおいて比較的多く認められ,その発生経路の早期の段階で存在するが,APC,K-ras遺伝子の変化の関与は小さいことが示された.MSIは,UCにおける発癌リスクの増加のメカニズムの一つとして作用している可能性が示され,UCANは散発性大腸癌とは異なる発癌経路を生じている可能性が示された.
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Research Products
(1 results)