1998 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎に合併する大腸腫瘍の発生進展に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
10671161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 聡明 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80210920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 圭二 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 癌 / dysplasia / p53 / 腺腫 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎の癌・dysplasia・腺腫におけるp53蛋白過剰発現の頻度について,東京大学第1外科実験室にて行った.p53蛋白発現の検討には抗p53蛋白モノクローナル抗体PAb1801(Oncogene Science,200倍希釈)を用い,自然乾燥後,micro-wave処理した薄切切片に,SAB法にて行った.p53免疫染色結果は,以下の4つ,びまん性陽性・diffuse(+++):陽性細胞が病変全体にびまん性にみられるもの(400倍視野で最低30%,ほとんどの場合70-80%以上),集簇性陽性・nested(++):病変の一部にp53陽性細胞が連続性に集合して,巣状集簇性に出現しているもの,散在性陽性・scattered(+):散在性にみられるもの,陰性・negative(-):陽性細胞が全くみられないもの,に分類した.p53蛋白過剰発現は,筆者らの今までの成績に従って,びまん性陽性または集簇性陽性のものとした.この結果,p53蛋白過剰発現は,浸潤癌で89%,high-grade dysplasiaで70%,low-grade dysplasiaで57%,腺腫では0%,indefinite for dysplasiaで0%,negative for dysplasiaで0%であった.腫瘍の診断,およびdysplasiaと腺腫の鑑別にp53蛋白過剰発現を検討することが大変役立つことが証明され,これを日本大腸肛門病会誌(『潰瘍性大腸炎癌化例の診断におけるp53染色』51巻,1101-1108,1998)に投稿し,評価を得た.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松田圭二: "日本欧米間における大腸癌診断基準の一致を望む" Medical Bricfs in Canur. 3(4). 2-3 (1998)
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[Publications] 松田圭二: "大腸がんの種類" からだの科学. 199. 26-29 (1998)
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[Publications] 松田圭二: "潰瘍性大腸炎癌化例の診断におけるp53染色" 日本大腸肛門病会誌. 51(10). 1101-1108 (1998)
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[Publications] 松田圭二: "腸の前癌病変(2)炎症性腸疾患" 臨床消化器内科. 13(6). 761-770 (1998)