2000 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌におけるgenomic instabilityの意義
Project/Area Number |
10671162
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
仁瓶 善郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00189341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長内 孝之 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (50301164)
市川 度 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70282738)
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Keywords | 胃癌 / Eカドヘリン / p14^<ARF>遺伝子 / メチル化 |
Research Abstract |
胃がんの発生は減少傾向にあるが、今なお日本では頻度の高い癌である。胃がん患者の家族集積を検討したこれまでの報告では、その頻度は基準によりまちまちであるが、胃がん患者の0.2%-5.6%とされている。近年、世界においていくつかのグループで胃がん家族集積家系よりEカドヘリンのgerm-1ine mutationが報告されている。しかし、日本におけるEカドヘリンのgerm-1ine mutationについての検討は少ない。我々は日本人家族性胃がん14家系16症例(うち未分化型胃がん8症例)のEカドヘリンの全コード領域を検索した。しかし生殖細胞変異はいずれの組織型においても認められなかった。従って本邦における家族性胃がんにEカドヘリン遺伝子の生殖細胞変異の寄与するところは少ないと考えられた。言い換えれば他の遺伝子の関与している可能性があると考えられ、他のcandidateの検索が必要である。 ところでp14ARFは選択的スプライシングにより、p16INK4aの最初のエクソン、1aをその約15kb上流に存在する1bで置き換えることにより作り出され、細胞増殖抑制機能をもつ事が示されている。今回の研究では11株の胃癌細胞株におけるp14ARF遺伝子のmRNA発現、homozygous deletion、突然変異、プロモーターのメチル化を調べた。未分化型胃癌細胞7株中5株にmRNA発現はみられなかった。逆に分化型ではmRNA発現の低下していた1株を除きすべて正常な発現を示した。mRNA発現のない5株のうち3株(MKN45、NUGC-2、NUGC-4)にhomozygous deletionが、1株(KATO III)にプロモーターのメチル化がそれぞれ認められた。Homozygous deletionのない8株について、p14ARFの全コード領域にわたりSSCP法により突然変異を検索したが明らかな変異は認められなかった。これらのことより分化型胃癌細胞株より未分化型株でのほうがhomozygous deletionやメチル化によりp14ARFが不活性化されていることが示された。さらに、我々は62例の胃癌組織につてもp14ARFプロモーターのメチル化を検索した。未分化型胃癌でメチル化されている頻度が高い傾向にあった(未分化型15/33、45.5%;分化型7/28、25%)。以上よりp14ARFの変異は未分化型胃癌の発生に関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Iida,W.Ichikawa,E.Nihei et al: "Infrequent germ-line mutation of the E-cadherin gene in Japanese familial gastric cancer kindreds"Clinical Cancer Research. 5. 1445-1447 (1999)
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[Publications] S.Iida,W,Ichikawa,E.Nihei et al: "Alterations and hyermethylation of the p14ARF gene in gastric cancer"Int.J.Cancer. 87. 654-658 (2000)
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[Publications] 仁瓶善郎,飯田聡,杉原健一: "家族性胃癌"日本臨床. 58・7. 1523-1526 (2000)