1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生阻害物質による大腸癌術後再発防止に関する検討
Project/Area Number |
10671171
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 利夫 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40283353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 達郎 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90273185)
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00138033)
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Keywords | 血管新生阻害 / 大腸癌術後転移 / FR-118487 / ヒト大腸癌TK4 / 大腸癌原発巣切除モデル |
Research Abstract |
昨年度の研究において、我々が開発したヌードマウスヒト大腸癌同所再建後原発巣切除モデルを用い、Fumagillin 系血管新生阻害剤 FR-118487 による原発巣早期切除後肝転移抑制効果を実証した。晩期切除後肝転移に対しては血管新生阻害剤はその抑制効果を認めなかった。この実験では晩期切除はヒト臨床の進行癌の時期に相当する。臨床の場では、外科手術のみでは根治を得られない進行癌の補助治療を必要としている。そこで、今年度は原発巣晩期切除後の肝転移抑制効果について検討した。 晩期切除時期では既に肝転移が成立しており、肝転移巣においても血管新生が誘導されている。このように既に誘導・構築された腫瘍血管は、その内皮細胞の分裂・増殖を抑制することによって、破綻するものと考えられるので、内皮細胞の寿命である3-4週間の治療が最低限必要であると考えられる。昨年度の実験では1週間の治療であったので、その治療期間を延長することによって、進行癌でも肝転移抑制を得られるものと推察した。 ヒト大腸癌TK4をヌードマウス盲腸に同所移植し、移植4週間後に盲腸切除を行った。手術3日目より FR-118487:1mg/kg/dayを浸透圧ミニポンプを皮下に埋め込み、4週間持続皮下投与し、転移について評価した。対照群では9/10(90%)、長期治療群では2/10(20%)の肝転移を認め、腹膜転移を対照群では8/10(80%)に認めたが、長期治療群では完全に抑制された。血管新生阻害剤長期投与による有意な晩期切除後肝転移・腹膜転移抑制効果(p<0.01)を認めた。 以上の結果より、血管新生阻害療法は、進行度に関係なく、大腸癌原発巣切除後の転移・再発を抑制したことから、術後の有力な補助療法となりえる事が示唆された。
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Research Products
(1 results)