1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671176
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
藤村 昌樹 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (50115771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 隆 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50263041)
藤宮 峯子 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10199359)
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Keywords | 消化管壁内神経叢 / 逆行性神経トレーサー(Dil) / 器官培養 |
Research Abstract |
消化管壁内神経叢の微細構造を解明するために、逆行性神経トレーサー(DiI)を用いてモルモット小腸壁内の筋間神経の形態と投射経路を検討した。平成10年度は、まず、消化管器官培養法の確立に成功した。次に、モルモットの小腸を摘出し、腸管壁内の筋間神経叢内のひとつのganglionに選択的にDiIをmicroinjectionした後、小腸片を3日間器官培養し、固定した後縦走筋と筋間神経叢のみで構成される標本を作製し、蛍光顕微鏡下に観察した。その結果、一標本あたり約255個のDiI標識神経細胞が認められ、このDiI標識神経細胞はDiIを注入した特定の神経節に神経繊維をのばしており、神経回路網を形成しているものと考えられた。DiI標識神経細胞の形態とDiIを注入した神経節からの距離を解析した結果、標識神経細胞は、投与部位から口側36mm、肛門側10mmの範囲に分布し、全標識神経細胞のうち、口側6mmまでに約87%、肛門側4mmまでに約94%分布していた。標識神経細胞の輪状方向への分布はDiI投与部位においてのみ観察され、全標識細胞中の約50%にも及んでおり、蠕動運動において収縮弛緩が輪状方向に同時に発生することを調節する機構に関連すると考えられた。DiI投与神経節より口側に局在する下向性神経細胞は、肛門則に存在する上行性神経細胞に比べ、投射距離が長く、Dogiel type IIの形態を持つものが多い(約35%)ことから、この長い投射距離を持つ下向性神経細胞が蠕動運動の伝播の調節に関与していることが推測された。
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