1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝標識付細菌を用いたバクテリアルトランスローケイション研究法の開発
Project/Area Number |
10671192
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西 正晴 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (40228143)
|
Keywords | 遺伝表識付細菌 / バクテリアルトランスローケイション / 閉塞性黄疸 / 肝切除術 / クリアランス機構 / 胆汁酸 |
Research Abstract |
平成10〜11年度の研究で開発した遺伝表識付細菌JNW14を用いて、閉塞性黄疸ラットおよび閉塞性黄疸ラット肝切除後のバクテリアルローケイション動態の解明に続いて閉塞性黄疸および肝切除後の各臓器における細菌のクリアランス機能を測定するとともに、肝汁酸が閉塞性黄疸ラットのバクテリアルトランスローケイション防止効果に及ぼす影響を検討した。 JNW14生菌10^8CFU投与後の血中クリアランス曲線から算出したPhagocytic index(κ)はsham Op.(S)群に比較し閉塞性黄疸(I)群で低下するとともに、肝切除(IH:24時間)群では著明に低下した。 網内系臓器の取り込みでは、I群ならびにIH群で肝での取り込みの低下と肺での取り込み増加が認められた。κ値、肝の取り込み率および肝湿重量の増減率は、I群で取り込み率の減少がκ値の現象より大であった。また、IH群ではκ値、取り込み率とも肝湿重量の増減率より低下傾向を示し、取り込み率がκ値より低下した。 閉塞性黄疸ラットに対する胆汁酸投与で、タウロコール酸、コール酸(各20mg/100gBW)投与では両群とも非投与群に比し盲腸内生菌数は減少したが、腸間膜リンパ節へのバクテリアルトランスローケイションは増加傾向が見られた。しかし、タウロコール酸 10mg/100gBW、5mg/100gBW投与群では両群ともにバクテリアルトランスローケイション防止傾向が見られた。 これらの結果から、閉塞性黄疸や肝切除時のバクテリアルトランスローケイションならびに網内系機能低下による肺感染症の一因が明らかになるとともに、胆汁酸の成分、投与量によりバクテリアルトランスローケイション防止効果に差異があることが判明した。
|