1998 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存allograftによる肝動脈,上腸間膜動脈同時再建に関する研究
Project/Area Number |
10671194
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 元道 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (50162491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加州 保明 愛媛大学, 医学部, 助手 (40294813)
渡部 祐司 愛媛大学, 医学部, 講師 (20210958)
河内 寛治 愛媛大学, 医学部, 教授 (90116020)
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Keywords | 肝動脈 / 大動脈 / 凍結保存 / 肝虚血 / 血管移植 / 感染 |
Research Abstract |
肝動脈,上腸間膜動脈根部の再建に凍結保存graftを用いる時の感染症に対する抵抗性を雄、8週齢、250gのWister rat、15Kgの食用ブタを用い検討した。 1) ラット腹部大動脈グラフトの凍結保存:TC199(10%calf serum,10%DMSO,5%HEPES buffer添加)を加えたフリージングパックにラット腹部大動脈2cmを入れ、プログラムフリーザーにて-80℃まで急速に冷凍するシステムを確立した。フリージング過程は良好で、グラフト凍結保存は成功した。 2) 凍結保存グラフトの移植:腹部大動脈を凍結保存1-2ヶ月後に解凍し、腹部大動脈に10-0糸にてマイクロ下の血管縫合を行い、安定した腹部大動脈移植モデルを作成し得た。 3) 腹膜炎モデル作成:14G針で盲腸を穿孔結紮後、8時間後に壊死部盲腸切除、腹腔内清拭を行う汎発性腹膜炎のモデルで、ラットが生存可能で、グラフトが膿汁にさらされるグラフト感染実験モデルを作成した。 4) 腹膜炎での凍結保存グラフト感染の影響:腹膜炎下のグラフト移植後1週ー3月目に犠牲死させ、肉眼的、組織学的に観察した。ラットは全例生存し、血栓形成もなく、大動脈の開存率は100%であった。グラフト周囲に癒着はあるが、膿瘍形成、血栓、仮性動脈瘤等は認めなかった。グラフトの凍結保存に伴う変化は認めるが、腹膜炎の影響はなく、凍結グラフトは感染に抵抗が強かった。 5) ブタ肝動脈から腹部大動脈の摘出:ブタで肝動脈、上腸間膜動脈を観察するに、肝動脈は剥離可能であるが、上腸間膜動脈は周囲にリンパ管、神経に被われ、ブタを生かした状態で剥離するのは困難であった。一方、肝動脈から腹部大動脈を摘出、凍結保存するのと、腹部大動脈ー肝動脈移植は可能であった。 6) 肝虚血における肝酸素分圧:ラットとブタの肝虚血実験モデルで肝の酸素分圧は虚血に伴い、変化した。酸素分圧測定は肝動脈の再建に伴う酸素化の状態をモニターするのに有用であった。
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