2000 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病腸管病変のコラーゲン分布-特に病変の形態と術後再発形成との関連について
Project/Area Number |
10671206
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杉田 昭 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (20187652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 賢治 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20094310)
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Keywords | クローン病 / 腸管壁コラーゲン / 手術後再発 |
Research Abstract |
1.目的:クローン病は再燃を繰り返しながら徐々に狭窄や瘻孔を形成する難治性炎症性腸疾患で、腸切除の再発は瘻孔型と非瘻孔型で差があるといわれている。今回はクローン病の腸管壁のコラーゲンのタイプ分析を行ってクローン病と対照群、クローン病の瘻孔と瘻孔以外の病変の差を検討した。 2.対象、方法 対照群12例とクローン病の病変別に肉眼的正常部48例、狭窄部10例、潰瘍部20例、瘻孔部21例、肥厚部11例、浮腫を認める部位3例の腸管壁についてコラーゲン分画(%)(type I,III,V)を測定した。各群間の比較はt検定で行い、p<0.05を有意差ありとした. 3.結果 1)Type I、III 対照群とクローン病全体、および各病変群とで差はなく、またクローン病各群間にも差は見られなかった。 2)Type V Type Vの平均含有率は対照10%、クローン病の肉眼的正常部8.5%、狭窄部7.1%、潰瘍部8.3%、瘻孔部8.0%、肥厚部6.9%、浮腫を認める部位7.9%であった。 対照群とクローン病全体、および各病変群のtypeV含有率は対照群に比べて有意に低値であった。瘻孔と非瘻孔部(狭窄部、潰瘍部、瘻孔部、肥厚部、浮腫)のtypeV平均含有率はそれぞれ7.97%、7.66%で有意差は認めなかった。 4.結語 クローン病の腸管壁は肉眼的正常部も含めて正常対照群と比べてコラーゲン分画のうち、typeVが有意に減少していた。この結果は従来の報告とは異なるが、クローン病患者腸管のコラーゲン代謝が正常と異なることが示唆された.クローン病の病変形態別には差がなかったことから術後再発は病変腸管局所のコラーゲン分画とは関連がないと考えられた.今後更に測定症例を増やして各病変部のコラーゲン分画の特徴を分析し、クローン病腸管の病態を解明および術後再発との関連を検討する必要があると考えられる。
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