1999 Fiscal Year Annual Research Report
小腸虚血・再灌流障害におけるHeat Shock Proteinの関与
Project/Area Number |
10671209
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 篤司 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10275133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 義之 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (90225326)
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Keywords | 小腸 / 虚血 / Heat Shock Protein |
Research Abstract |
【研究目的】一度ストレスを与えられた細胞は、二度目のストレスに対して耐性を持つという現象が確認されており、この現象にHeat Shock Protein(HSP)の関与が指摘されているが、その機序は不明である。小腸の虚血耐性現象に関しては組織学的な検討の報告が散見されるものの、エネルギー代謝の面から検討した報告は無い。我々は以前より、小腸虚血・再灌流障害に対して^<31>P-MRS法を用いてエネルギー代謝の観点から実験を行ってきた。本法は、非侵襲的かつ連続的に組織中のATPを測定できるという特徴がある。今回、小腸における虚血耐性現象に対しHSP誘導下のエネルギー代謝の動態を検討することを目的とした。【方法】動物はwister系雄性ラットを用い、A群(対照群)とB群(preconditioning群)を作成した。HSPの誘導はwater bathにて全身加熱し、直腸温を42℃に20分間維持することにて行った。Western blotting法によりHSPの発現を確認した結果、全身加熱後6時間で発現量が最大となった。この結果から、B群では虚血実験の6時間前に加熱ストレスを与えることとした。虚血は腸間膜動脈をナイロン糸で絞扼し、再灌流はその糸を解除することにより行った。両群において、虚血時間60分、再灌流時間120分間の虚血再灌流を行い、その間の小腸におけるエネルギー代謝を〈SUP〉31〈/SUP〉P-MRS法を用いて経時的・連続的に測定した。また、両群において再灌流120分時に小腸を摘出し、HE染色にて組織学的に比較検討した。【結果】全身加熱ストレスにより小腸粘膜を中心にHSPが発現した。虚血・再灌流後の小腸の粘膜障害はA群に比してB群は軽度であった。組織中のATPはA群では虚血中に虚血前の37.1±15.5%と低下し、再灌流後も55.0±10.0%までの回復にとどまったが、B群では各々58.0±13.0%、88.0±16.4%と有意に虚血時のATPの低下が抑えられ、再灌流時の回復が良好であった。
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Research Products
(1 results)