1999 Fiscal Year Annual Research Report
下肢運動神経交叉吻合法による肛門括約筋萎縮の改善と便失禁治療法の開発
Project/Area Number |
10671214
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 知行 自治医科大学, 医学部, 助手 (50225976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬川 了 自治医科大学, 医学部, 助手 (80254928)
小西 文雄 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20142242)
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Keywords | 外肛門括約筋 / 便失禁 / 交叉吻合 / 末梢神経 / 陰部神経 / 分娩 / 骨盤底 / 神経伝導速度 |
Research Abstract |
本年度は以下の2項目の研究を行なった。 1. 本年は本治療法の肛門機能面での回復を、特発性便失禁症モデル犬を用い、下肢運動神経交叉吻合を両側に施行した群と全く行なわない群の2群で、比較検討した。実験群と対象群ともに、犬十頭を用いた。陰部神経に金属クリップをかけることによって圧挫する方法では外肛門括約筋に部分的脱神経をおこし、特発性便失禁症のモデルを作成した。その後に、実験群では、大腿二頭筋神経を障害を与えた陰部神経の末梢側に交叉神経吻合し、それによって外肛門括約筋が脱神経性萎縮から逃れうるかどうかを、その吻合手術を行なわない対照群と比較することで検討した。その結果、手術を施行した群で肛門管の長さと肛門管最大静止圧で、有意に手術後1ヶ月で機能の回復が観察され、3ヶ月目まで順調な回復曲線を描いた。以上より、神経障害を有する陰部神経に代えて、健常な末梢運動神経を陰部神経に吻合することで、肛門括約筋の筋力低下を改善させることが可能であり、本術式が神経原性便失禁症に対して臨床応用が可能であると考えらえた。 2. また、ボランティアを用い、若年男子と老年者との陰部神経latencyの比較を行なった。若年男子は10名であった。そのデーターを老年男子と比較したところ、肛門機能は低下し。陰部神経のlatencyは、有意に小さく、加齢による陰部神経の障害が示唆された。
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