1999 Fiscal Year Annual Research Report
マトリックス分解酵素阻害剤による癌転移抑制に関する研究
Project/Area Number |
10671216
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大谷 吉秀 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20168983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 香織 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10245467)
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Keywords | 腫瘍 / 消化器癌 / 胃癌 / マトリックス分解酵素 / MMP / 腹膜播種 / 浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
癌が浸潤・転移する際の主病巣周囲の細胞外マトリックスや基底膜の破壊は重要なステップであることが知られている.私共はヒト消化器癌組織中のマトリックス分解酵素(matrix metalloproteinase:MMP)が癌浸潤・転移の過程で重要な役割を演じており、さらに生物学的悪性度と密接な関連があることをこれまで明らかにしてきた.胃癌に代表される消化器癌の治療成績は早期発見率の増加、集学的治療の進歩により向上したが、進行癌、とくに腹膜播種陽性例において治癒成績は必ずしも満足できるものではない.手術時に腹膜播種陽性例の1年生存率は20%以下である. 上記の状況を踏まえ、MMPによる細胞外マトリックス破壊の阻止が癌細胞の進展の抑制につながるとの仮定から本研究を計画した.合成MMP阻害剤の転移抑制効果をヌードマウス腹膜転移モデルを用いて検討した. 1.ヌードマウス腹膜播種転移モデルの確立 2.R-94138投与実験 ヌードマウスにTMK-1を腹腔内投与後、1週目からR-94138(30mg/kg)を連続5日間腹腔内投与し、5週後にマウスを犠牲死させ、腹膜播種結節の数と総重量を計測して、その効果を判定した.その結果、コントロールに比べ有意に腹膜播種形成の抑制を認めた. 3.既存の抗癌剤であるマイトマイシンCとの併用投与を行ったところ、相乗効果を認めた. 4.腹膜播種結節形成の抑制機序について免疫組織学的に検討し、血管新生が抑制されていることを明らかにした. 以上の研究成果から、MMP阻害剤を用いた新しい癌転移治療の臨床応用に向けた可能性が示された.
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[Publications] 大谷吉秀ほか: "消化器癌転移抑制におけるMMP活性阻害の意義-臨床応用への展望"Biotherapy. 13・6. 679-685 (1999)
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[Publications] 木全 大、大谷吉秀ほか: "ヌードマウス胃癌腹膜播種モデルにおけるマトリックス 分解酵素阻害剤TA-2516(Marimastat)の腫瘍抑制効果"日外会誌. 100・5. 363 (1999)
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[Publications] Yoshihide Otani,et al: "Expression of matrix metalloproteinases in gastric carcinoma and possibility of clinical application of matrix metalloproteinase inhibitor in vivo"Ann NY Acad Sci. 878. 541-543 (1999)
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[Publications] 大谷吉秀ほか: "MMP活性阻害による新しい胃癌転移治療"消化器科. 30・1. 40-45 (2000)