1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除術後不全におけるHGFレセプターシグナル伝達経路の障害に関する研究
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10671218
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
和田 知可志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90256470)
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Keywords | 肝臓 / 肝不全 / 肝再生因子受容体 |
Research Abstract |
【目的】HGF-receptorのシグナル伝達経路には,MAPkinaseを介する経路とrhoを介する経路の少なくとも2つの経路が存在し,前者は細胞増殖に関与し,後者は細胞骨格に作用し細胞運動に関与することが明らかにされている.今回,肝切除後肝不全の動物モデルを作成し,HGF-receptorシグナル伝達経路の障害部位の同定を行った. 【方法】 1)ラットにおける限界切除率とされる84%肝切除を中心とする肝切除後肝不全モデルを作成した. 2)この肝切除後肝不全モデルを用いて,肝切除後,2時間,12時間,24時間,72時間にsacrificeし,肝細胞のHGF-receptorシグナル伝達経路におけるMAP kinaseを会する経路およびrhoを介する経路の障害部位を,蛍光抗体法,生化学的方法,電子顕微鏡による観察により,同定した. 【結果】MAP kinaseを介する経路の障害は,細胞増殖抑制すなわち肝再生と関連すると考えられた.またrhoを介する経路の障害は,類洞内皮細胞小孔,gap junction,tihgt junctionなどの細胞接着装置の超微形態変化が認められた.前述した変化は,肝切除後24時間で最も顕著であった. 【今後の計画】これらの変化の原因の生理学的指標として,肝組織血流を水素クリアランス法,86Kr-クリアランス法にて平行した解析を試みている.
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