1999 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌における化学療法剤薬剤感受性とその機序に関する研究
Project/Area Number |
10671225
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
船曳 孝彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40084537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 洋一 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60170651)
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Keywords | 抗癌剤感受性 / 消化器癌 / thymidylate synthase / DPD |
Research Abstract |
悪性腫瘍33例(乳癌2例、胃癌9例、大腸癌21例、GIST1例)から得られた新鮮外科的切除材料を対象とし各種化学療法剤感受性試験を施行した。化学療法剤感受性はCD-DST法を用いてT/C比を算出し感受性の指標として用いた。使用した薬剤は5-FU(1.0μg/ml,1day、0.4μg/ml,5days、10μg/ml,3h、20μg/ml,3h)、mitomycin C(MMC,0.03μg/ml,1day)、cisplatin(0.2mg/ml,1day)であり、それぞれの薬剤暴露後のT/C比を算出した。また腫瘍組織のTS活性、DPD活性も測定した。5-FU(1.0μg/ml,1day)、mitomycin C,cisplatin曝露後のT/C比(Mean±SD)はそれぞれ84.8±21.5,84.4±23.4,86.7±22.0%であった。各薬剤のT/C比の相関性は5-FU/MMC r=0.603,P<0.05;MMC/cisplatin r=0.948,P<0.0001;5-FU/cisplatin r=0.485,P=0.0665であり、5-FU/MMC、MMC/cisplatin の間に有意な相関を認めた。一方、5-FU曝露後のT/C比とtotal TS活性との相関はr=-0.039,P=0.9304、DPD活性との相関は r=-0.367,P=0.505であり、相関は認めなかった。 p53蛋白の発現が化学療法剤感受性を制御する因子であるかを明らかにするため、抗癌剤感受性とp53の発現との関連を検討した。p53の発現は抗p53モノクローナル抗体(D0-7,DAKO)を用いた免疫組織学的染色にて判定した。p53陽性症例は13例(60.6%)で、p53陽性例、陰性例のtotal TS活性(M±SD)はそれぞれ8.8±6.3,10.7±9.2 pmol/g-tissue,DPD活性はそれぞれ57.5±30.6,48.4±20.3 pmol/mg-proteinであり、いずれも有意差を認めなかった。p53陽性例、陰性例の5-FU,1.0μg/ml,1dayのT/C比はそれぞれ87.1±9.2,68.9±14.7%であり、p53陽性例におけるT/C比は陰性例に比較し有意に高かった(P<0.05)。MMCに対するp53陽性例、陰性例のT/C比はそれぞれ95.3±13.3,80.7±18.0%(P=0.22)、CDDPに対するT/C比はそれぞれ93.8±17.5,86.3±19.2%(P=0.61)と有意差を認めなかった。現在その他の感受性決定に関与する分子についても検討中である。
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