1998 Fiscal Year Annual Research Report
心臓外科領域における完全無輸血および低侵襲手術を目指した次世代型人工心肺の開発
Project/Area Number |
10671256
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 元延 大阪大学, 医学部, 助手 (90291442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 芳樹 大阪大学, 医学部, 講師 (00243220)
大竹 重彰 大阪大学, 医学部, 講師 (50243209)
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Keywords | 吸引脱血 / 体外循環 / 開心術 |
Research Abstract |
体外循環においては、従来の落差による脱血法では脱血効率に制限があるが、陰圧吸引による脱血法は効率が良く、かつ回路の短縮が可能なことから、低容量で高効率な体外循環法と考えられる。最近我々は陰圧の変動を最小限にする定圧制御弁を使用することにより、安定したリザーバー内陰圧を確保するシステムを開発し臨床応用しており、有用性を検討した。【対象】1997年9月より1998年5月までに当科にて施行した待期的初回成人開心術症例のうち、吸引脱血を併用した体外循環を施行した17例(V群)を対象とし、落差脱血による開心術症例18例(C群)と比較した。年齢、体表面積、体外循環時間、術前貯血量および術前血中Hb値は2群間で有意差を認めなかった。【方法】全例無血充填とし、遠心ポンプ送血による軽度〜中等度低体温体外循環を施行した。落差脱血では内径1/2インチ、吸引脱血では内径3/8インチの脱血側回路を使用した。吸引脱血では低圧制御弁付き吸引ポンプによってハードシェル静脈リザーバー内を一定の陰圧(-20〜-60mmHg)に保つことにより静脈脱血を行った。【結果】脱血側回路を変更することにより、回路充填量はV群で有意に低くする事が可能となり(VvsC,1226±98vs1798±155ml)、また体外循環中の輸血率はV群で低い傾向にあった(VvsC,11.7vs27.8%)。体外循環開始後経時的に測定した血清中遊離ヘモグロビン、ハプトグロビンの体外循環開始直後の値に対する変化率は両群間で有意差を認めなかった。吸引脱血では定圧制御弁の使用により静脈リザーバー内をほぼ一定の設定圧に保つことが可能であり、体表面積1.61m2の症例に対して、20Frの脱血管を使用しても安全に体外循環が施行可能であった。【結語】定圧制御弁を用いた吸引脱血による体外循環は低容量で安全かつ効率の良い脱血が可能であった。
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