1999 Fiscal Year Annual Research Report
胸腹部大動脈瘤手術時の補助手段としてのクモ膜下腔灌流法の開発
Project/Area Number |
10671266
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
中村 都英 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (10207871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼塚 敏男 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (60108595)
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Keywords | 胸腹部大動脈瘤 / 脊髄虚血 / 脊髄保護液 / くも膜下腔灌流 / adenosine |
Research Abstract |
・手術手技・・・実験動物として、体重2.5〜3.5kg雄のJapanese white rabbitを使用した。自発呼吸下に吸入麻酔薬による全身麻酔を行った。頚椎および腰椎の部分椎弓切除を行い硬膜外カテーテル電極を留置した。脊髄虚血モデルは、開腹して、腎動脈下および大動脈分岐部直上の大動脈を遮断することにより作製した。大動脈遮断時間は30分間で、同時に側副血行路となる可能性のある後腸間膜動脈も遮断した。 ・実験方法・・・コントロール群(5羽)、KW3345投与群(5羽)に分けた。コントロール群は大動脈遮断直後に遮断した腹部大動脈内に、常温生食を動注した。KW3345群は濃度を変化させて、遮断前に静注、あるいはコントロール群と同様に動注した。この間連続的に脊髄誘発電位を測定し、その波形の遅れや高さの変化で脊髄保護効果を検討した。 ・結果1・・・コントロール群、KW3345投与群いずれも全例対麻痺となった。また脊髄誘発電位は測定不可能であった。 KW3345で全例対麻痺となったため、同じnucleoside transport inhibitorであるdipyridamoleを使用した。投与方法は濃度を変化させて(10,20,50,100,1000μg/kg)、コントロール群と同様に動注した。 結果2・・・20,50,100μg/kgの投与量でそれぞれ1羽ずつ正常に回復したが、残り全て(8羽)が対麻痺となった。 今回の実験では、症例は少ないものの20〜100μg/kgの濃度のdipyridamoleで正常に回復した症例があり、脊髄保護におけるdipyridamoleの有効性が示唆された。今後は、これらの濃度においてさらに実験数を重ねるとともに、静脈投与やクモ膜下潅流法などの有効性についても検討する予定である。
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