1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671267
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
下川 新一 鹿児島大学, 医学部, 講師 (40170998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 理一郎 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90284869)
渡辺 俊一 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (90264415)
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Keywords | 肺移植 / 心停止ドナー / 温阻血 / 酸素膨張 / 胸腔内空冷 / 高頻度ジェット換気法 |
Research Abstract |
雑種成犬を心停止させ、I群は室温の100%酸素で肺を膨張させ2時間放置した。II群はI群の条件に左胸腔内空冷を加えた。2時間の胸腔内空冷中、左胸腔内と左後葉気管支内(n=各4)及び左後葉肺組織(n=3)の温度変化を調べた。心停止放置2時間後、4℃のEuro-Collins液でflushし、摘出肺を4℃の生食に2時間浸漬保存後に左肺移植を行った。左肺換気のみで1時間観察後に右肺動脈を遮断し,移植肺を評価した。各温度は20分で心停止前に比し有意に下降し、1時間で胸腔内は9.6±6.1(mean±SD)℃、気管支内は12.0±6.2℃、肺組織は12.4±6.0℃になった。2時間では、各々7.4±3.2℃、7.2±3.3℃、5.7±2.3℃になった。光顕で肺に冷却による異常な変化はなかった。この結果は日本外科学会雑誌に研究速報として投稿した。各群2例で移植肺を評価した。I群では、移植直後に左肺換気のみでPO_2は657mmHg、405mmHg、PCO_2は43mmHg、44mmHgで、1時間後に各々150mmHg、434mmHg及び50mmHg、49mmHgになった。いずれも右肺動脈遮断に耐えなかった。II群の1例では、移植直後に左肺換気のみでPO_2は623mmHg、PCO_2は42mmHgで、1時間後に各々135mmHg、59mmHgになった。右肺動脈遮断1時間後で、PO_2は185mmHg、PCO_2は73mmHgになった。平均肺動脈圧は遮断前32mmHgから38mmHgへ、心拍出量は前3.29L/minから2.76L/minになった。他の1例ではPO_2は603mmHgから523mmHgに、PCO_2は24mmHgから30mmHgになった。しかし、右肺動脈遮断に耐えなかった。胸腔内空冷は心停止後ドナー肺の機能保持に有用ではないかと考えられ、更に例数を増やし検討している。
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