1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管器械吻合における吻合部修復機転の免疫組織化学的および電子顕微鏡的検討
Project/Area Number |
10671268
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
柴田 利彦 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10260803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末広 茂文 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (90142182)
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Keywords | 血管吻合 / チタニウムクリップ / 内膜肥厚 |
Research Abstract |
血管器械吻合部の修復機転を調べるため組織学的検討を行った。まず、以前に血管器械吻合を臨床応用した症例のうち、術後2年以上経過した8例について臨床的検討を行った。全例expanded polytetrafluoroethylene(PTFE)の人工血管を用いてバイパス術を行った。術後のankle pressure indexは7例で1.0となり1例が0.9と良好であった。全例抗血小板剤とワーファリンを服用した。術後2年で大腿ー膝窩動脈バイパスが閉塞した症例が2例発生した。1例目は以前行われた大動脈ー大腿動脈バイパスが閉塞し、その後大腿ー膝窩動脈バイパスが閉塞した症例である。もう一例は術後2年経過したため、ワーファリンを中止した2週後にグラフトが閉塞し間欠性跛行が生じた。再度PTFEの人工血管を用いて大腿ー膝窩動脈バイパスを行った。その際に、閉塞した前回の吻合部を採取し組織学的に検討を行った。PTFEとの吻合部には内膜肥厚が著明であった。特に器械吻合に使用したtitanium clipが吻合部内腔に露出している側では対側にくらべ著しい肥厚が認められた。clipが内腔に露出していた原因としては、手術手技そのものによる不適切がclipping操作によるもの、あるいは組織所見から中膜の断裂が生じておりclippingによる中膜断裂からclipが血管内腔に迷入した可能性のどちらもが考えられた。PTFEを用いた器械吻合の中期成績の報告は未だ世界でも発表されておらず、この病理学的所見は今後の臨床応用に影響を与えるものと思われる。 一方、ラットの大腿動脈を使用し血管吻合の実験を行った。十分に外反保持できて適切にclippingできた吻合部ではまったく血管内腔に異物の露出はなくかった。しかし、不適切なclippingであった吻合部では内腔にclipが露出し、明らかな異物反応が生じている可能性が示唆された。
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