1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671274
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
佐々木 進次郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10084881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時津 浩輔 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60257855)
麻田 邦夫 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (80131316)
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Keywords | プログラムフリーザー / 凍結保存血管 / 同種異系移植 / 代用血管 |
Research Abstract |
本研究ではプログラムフリーザーにより凍結し液体窒素気相に保存した凍結保存ラット胸部大動脈において、凍結-保存-解凍過程を経た保存血管が被る組織細胞傷害の程度及び凍結保存期間が保存組織へ及ぼす凍害の影響を各種方法を用いて摘出直後の新鮮血管と比較し客観的に評価した。更に、ラット同種異系血管移植モデルを作製し、凍結保存血管同種異系移植後の移植血管の宿主拒絶反応を含む組織学的変化を経時的に新鮮血管の同種異系移植の場合と比較し、同種異系血管移植における凍結保存血管の有用性について検討した。【実験内容および結果】組織細胞傷害は凍結解凍血管の塩化カリウム又はノルアドレナリン刺激によって発生する収縮力の測定(機能的評価)とエチジウム・ホモダイマー1により蛍光標識された傷害細胞数の全血管細胞数に対する割合の算出(形態学的評価)及び組織保存液中の逸脱LDH(生化学的評価)により定量した。実験群は、凍結保存されたラット胸部大動脈を、2週、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年後に解凍し使用した。対照は摘出直後のラット胸部大動脈とした。機能的評価では全実験群において約50%の有意な収縮力低下が見られたが、凍結保存期間による収縮力の差異はなかった。また、形態学的評価では全実験群において19.2%から27.4%の血管組織細胞が傷害されていたが、保存期間による有意差は見られなかった。逸脱LDH値は保存期間3ヵ月で有意な上昇を認めたものの、それ以降1年迄の逸脱LDH値に差異は認めなかった。次に、6ヵ月間凍結保存したラット凍結保存動脈の同種異系移植後の組織学的変化を経時的に新鮮血管の同種異系移植の場合と比較した。両群とも移植後7日目に内皮再生と内膜内平滑筋細胞の増殖を認めたが、凍結保存血管では新鮮血管に比しより早い内皮再生が観察され、内膜内平滑筋細胞増殖の程度は凍結保存血管移植群においてより軽度で良好な内腔開存が得られた。【総括】凍結操作により一年までの保存が可能であると結論された。ラット同種異系血管移植において、凍結保存血管は代用血管として有用であると考えられた。
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