1998 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-1およびbcl-2遺伝子導入による開心術中の心筋保護に関する研究
Project/Area Number |
10671275
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大谷 肇 関西医科大学, 医学部, 講師 (60168979)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大迫 茂登彦 関西医科大学, 医学部, 助手 (90223784)
|
Keywords | 心筋虚血 / IGF-I / Bcl-2 |
Research Abstract |
本年度は、まず、IGF-Iの心筋保護効果にBcl-2ファミリータンパクが関与しているか否かを検討するために実験を行った。ラットの腹腔内にヒトIGF-I(1mg/kg)を投与し、12時間、24時間、36時間後に心臓を摘出してBcl-2ファミリータンパクにおよぼすIGF-Iの影響をwestern blottingにて観察した。その結果、IGF-I投与後24時間をピークとして抗apoptosisタンパクであるBcl-xLの過剰発現がみられ、逆に催apoptosisタンパクであるBaxの発現抑制が認められた。IGF-I投与はBcl-2の発現には明らかな影響をおよぼさなかった。次に、Bcl-xLの過剰発現とBaxの発現抑制が虚血、再潅流心筋にどのような影響をおよぼすかをラットの摘出心を用いて検討した。IGF-I(1mg/kg)を腹腔内投与し、24時間後にLangendorff潅流した心臓の虚血前心機能は無処置の心臓と比較して変化はなかった。しかし、常温25分虚血、30分再潅流後の心機能の回復率はIGF-Iを投与した心臓において有意に改善していた。また、IGF-I投与心においては再潅流中のCKの遊離は有意に少なかった。IGF-Iを投与した心臓では、再潅流30分後のホルマリン固定標本の免疫染色にて心筋細胞にBcl-xLの過剰発現とBaxの発現抑制がみられた。 以上の成績からIGF-Iによる虚血、再潅流障害に対する心筋保護効果にはBcl-xLの過剰発現とBaxの発現抑制が関与していることが示唆された。
|