1999 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷モデルにおける神経回路再構築の制御機構に関する研究
Project/Area Number |
10671280
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 康信 秋田大学, 医学部, 助教授 (00184698)
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Keywords | CGRP / 電顕 / フィブリン糊 / GDNF / HRP / 再髄鞘化 / 神経再生 / 脊髄内移植 |
Research Abstract |
後根神経の宿主脊髄への再生促進のために神経成長栄養因子を外因性に投与する目的で、本研究では臨床的に多用されているフィブリン糊にglial cell line-derived neurotrophic factor(GDNF)を溶解し、pellet化したフィブリン糊球を脊髄内移植したモデルを作成した。GDNFを含むフィブリン糊を脊髄背側1/4吸引腔内に留置し、再生後根神経のマーカーとしてCGRP免疫染色で標識すると、GDNF含有のフィブリン糊球の移植モデルにおいて、胎仔脊髄組織の移植モデルと同等あるいはそれ以上の宿主脊髄への後根神経の再生が証明されたが、GDNFの非移植モデルでは後根神経の再生の程度は僅かであった。CGRP免疫染色では、全後根神経節細胞の約50%を標識することが可能で、その大半は小型および中等大の神経節細胞で、大半はnociceptiveの役割を持つ無髄軸索(C線維)、一部有髄軸索(Aδ線維)を出す。したがって、CGRP免疫染色による標識法ですべての再生後根神経を同定することは不可能で、標識された再生後根神経軸索の多くは無髄軸索である。そこで、後根神経のhorseradish peroxidase(HRP)による順行性標識を試みた。GDNF含有フィブリン糊を脊髄内移植したラットにおいて、HRP標識された後根神経は宿主脊髄に再生し、電顕的観察で、有意に多くの再生有髄軸索(Aδ/a線維)とシナプス終末の存在が明らかになり、後根神経の宿主脊髄への再生の直接的証明と考えられる。したがって、筋伸張反射に関与する単シナプス性脊髄反射弓の求心性経路の再生も期待される。後根-脊髄境界部で離断された有髄軸索の髄鞘は逆行性の退行変性に陥ることから、宿主脊髄に再生したHRP標識の有髄軸索における髄鞘の起源が問題になる。本研究で宿主脊髄内で再髄鞘化過程の電顕像が確認された。基底膜で全体が被覆されていることから、軸索離断によりSchwann細胞の脱髄化がおこり、無髄軸索の状態で宿主脊髄内に再生伸展し、脊髄内固有のoligodendrocyteにより、再髄鞘化がおこっていると推定される。
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[Publications] Kohki Iwaya: "Neurotrophic agents in fivrin glue mediate adult dorsal root regeneration into spinal cord"Neurosurgery. 44・3. 589-596 (1999)
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[Publications] Yasunobu Itoh: "Embryonic central nervous system transplants mediate adult dorsal root regeneration into host spinal cord"Neurosurgery. 45・4. 849-858 (1999)
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[Publications] Taku Sugawara: "Immunosuppressants promote adult dorsal root regeneration into the spinal cord"NeuroReport. 10. 3949-3953 (1999)