1998 Fiscal Year Annual Research Report
カプセル化神経栄養因子産生細胞脳内移植によるパーキンソン病の治療
Project/Area Number |
10671303
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊達 勲 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (70236785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 享 岡山大学, 医学部, 助手 (90237115)
古田 知久 岡山大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30181457)
大本 堯史 岡山大学, 医学部, 教授 (60032900)
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Keywords | 神経栄養因子 / GDNF / パーキンソン病 / 神経移植 / カプセル化細胞 |
Research Abstract |
最近発見されたglial cell line-derived neurotrophic factor(GDNF)は、脳内ドパミン系ニューロンに対して最も強力な作用をもつ神経栄養因子であり、パーキンソン病モデル動物に投与することにより、その機能改善を得ることができる。しかしながらこの方法では繰り返し投与することが必要であり、臨床応用を考えた場合、新しい投与法の開発が望まれる。 Baby hamster kidney(BHK)細胞にGDNF遺伝子を導入してGDNF産生能をもつ細胞株を作成した。これを高分子半透膜製の中空糸からできたカプセルに封入し、ラットの右線条体内に移植した。その1週間後、ラットの右線条体にドパミン神経に対する神経毒である6-hydroxydopamine(6-OHDA)を注入した。 カプセル化細胞を移植していない宿主では、apomorphine誘発回転運動が著明であったが、カプセル化GDNF産生細胞を移植した宿主では、apomorphine誘発回転運動が80%程度減少した。また、組織学的には、カプセル化GDNF産生細胞を移植した宿主の黒質と線条体においてドパミン神経の保護作用が明らかであった。カプセルの周囲には免疫反応はほとんどみられず、カプセルの中の細胞の生存は良好であった。 本年度の研究では、カプセル化GDNF産生細胞の移植によるドパミン神経に対する保護効果を検討したが、次年度以降は、まず6-OHDAによってドパミン系を破壊しておき、その後にカプセル化GDNF産生細胞を移植することによって、ドパミン神経に対する再生を誘導できるかどうかについて検討する予定である。
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Research Products
(2 results)