カプセル化神経栄養因子産生細胞脳内移植によるパーキンソン病の治療

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10671303
• Research Institution: OKAYAMA UNIVERSITY
• Principal Investigator: 伊達 勲 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (70236785)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小野 恭裕 岡山大学, 医学部, 助手 (40294409) ; 富田 享 岡山大学, 医学部, 助手 (90237115) ; 大本 尭史 岡山大学, 医学部, 教授 (60032900)
• Keywords: 神経栄養因子 / GDNF / パーキンソン病 / 神経移植 / カプセル化細胞

Research Abstract

神経栄養因子産生細胞を高分子半透膜製のカプセルに封入し、脳内移植を行なうことによって、宿主ドパミン系に対する、保護作用と再生作用が見られることをこれまで報告してきた。本年は、これらの効果がどのくらい長期まで観察されるかについて検討した。
脳内ドパミン系に対して最も強力な栄養作用をもつ神経栄養因子であるglial cell linederived neurotrophic factor(GDNF)を産生する細胞株を作製した。この細胞を、カプセルに封入し、片側パーキンソン病モデルラットの線条体内に移植した。
コントロールカプセルを移植した宿主では、アポモルフィンによって誘発される回転運動の改善は認められなかった。しかし、GDNFカプセルを移植した宿主においては、その回転運動の減少効果が観察され、その効果は移植後6カ月の長期にわたって認められた。これら行動学的改善の見られた宿主では、線条体と黒質において、抗tyrosine hydroxylase(TH)抗体によって染色されるドパミン線維とドパミンニューロンの有意な回復が認められ、カプセル内にも移植細胞の良好な生着が観察された。カプセルからは6カ月にわたって、十分量のGDNFが持続的に産生された。
カプセル化神経栄養因子産生細胞の脳内移植は長期にわたってパーキンソン病モデル動物の機能改善を促進することが証明された。

Research Products

• [Publications] 伊達勲,大本尭史: "パーキンソン病に対する神経移植再生療法:現状と神経幹細胞への期待"脳21. 3・1. 45-51 (2000)
• [Publications] 大本尭史,伊達勲: "カプセル化細胞脳内移植によるパーキンソン病の治療"Pharma Medica. 18・1. 63-68 (2000)