2001 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性アミノ酸による脳損傷に対する脳温変化の影響:低体温・高体温の効果について
Project/Area Number |
10671305
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤澤 博亮 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (50238565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 剛志 山口大学, 医学部, 教授 (60034972)
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Keywords | 興奮性アミノ酸 / グルタミン酸 / 低体温 / 高体温 / 微小透析 / ラット / オートラジオグラフィー |
Research Abstract |
脳外傷・虚血における神経細胞障害の機序において興奮性アミノ酸が重要な役割を果たすことが知られている。本研究の目的は、グルタミン酸毒性による脳損傷に対する軽度低脳温・高脳温の影響を生化学的・生理学的・組織学的および免疫組織学的側面から明らかにすることである。実験は成長雄ラットを使用して行うた。ハロセンの全身麻酔下に右頭頂部に骨窓を設け、微小透析プローブと脳温度測定用電極を頭頂葉皮質内に挿入した。微小透析プローブに、0.5mol/l(M)のグルタミン酸溶液を潅流することにより頭頂葉皮質に虚血性細胞傷害と酷似する興奮毒性病変が形成される。平成10年度の研究である組織学的検索・免疫組織学的検索、平成11年度のグリア増殖・アポトーシスの評価・平成12年度の一酸化窒素(NO)代謝産物の脳内濃度変化の検討に加え、平成13年度はグルタミン酸の細胞外液中の拡散に対する影響について検討した。成長雄ラットを使用。気管内挿管後、全身麻酔下に尾動脈にカニュレーションの後、動物固定器に固定。右頭頂部に骨窓を設け、膜長3mmの微小透析プローブ(Carnegie Medicine)、脳温度測定用電極を頭頂葉皮質内に挿入した。実験群:(1)正常脳温群;脳温・直腸温を37℃に維持。(2)低脳温群;脳温・直腸温を32℃に維持。各目標脳温に到達後、人工髄液、ついで^<14>Cでラベルしたシュクロースを混じた0.5Mグルタミン酸溶液をそれぞれ30分間灌流する。摘出脳から作成した凍結冠状断切片をX線フィルムに感光し、オートラジオグラムを作成した。^<14>Cの拡散の面積から拡散体積を算出した。^<14>Cシュクロースの拡散体積は脳温が高いほど増加した。本実験結果から、脳低温の中枢神経細胞保護作用と高脳温の障害作用はグルタミン酸の細胞外液中の拡散に対する影響も関与していると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Fujisawa H, et al.: "Glutamate neurotoxicity and hypothermia."Journal of Neurotrauma. 15. 10-10 (1998)
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[Publications] Suehiro E, et al.: "Brain temperature modifies glutamate neurotoxicity in vivo."Journal of Neurotrauma. 16. 285-297 (1999)
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[Publications] Fujisawa H, et al.: "Effects of mild hypothermia on the cortical release of excitatory amino acids and nitric oxide synthesis followimg hypoxia."Journal of Neurotrauma. 16. 1083-1093 (1999)
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[Publications] Fujisawa H, et al.: "Cerebral blood and nitric oxide synthesis -Study using a rat model of transient forebrain ischemia-"Neurotrauma Research. 11. 43-45 (1999)
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[Publications] 藤澤博亮ほか: "In vivo brain microdialysisによる脳内一酸化窒素代謝産物測定の有用性と問題点"集中治療. 12. 107-108 (2000)
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[Publications] Fujisawa H, et al.: "Effects of mild hypothermia on glutamate neurotoxicity in vivo : a histological perspective."Neurotrauma Research. 12. 14-19 (2000)
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[Publications] Fujisawa H, et al.: "International Conference on Recent Advances in Neurotraumatology."Chiu W-T, ed. Monduzzi Editore, Bologna. 6 (1999)