1998 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p16導入による膠芽腫の遺伝子治療に関する研究
Project/Area Number |
10671318
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 講師 (80135912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 勇 杏林大学, 医学部, 教授 (20186927)
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Keywords | p16 / (遺伝子治療)gene therapy / glioblastoma(膠芽腫) / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子産物p16を、Muristerone A(Ecdysone homologue)の添加によって自由に発現できるヒト膠芽細胞腫株(CL-4)を作製し次のことを明らかにした.(1)p16発現により、細胞周期は、G0-G1期に停止させることができる.(2)細胞の不死化や老化と関連するといわれるテロメラーゼ活性は、p16の発現に伴って低下する((1)&(2)、印刷中). (3)p16の発現に伴って、細胞周期調節以外の細胞形質の変化を明らかにした.(イ)p16の発現によって、細胞膜に存在し他の細胞や細胞外基質との接着に関連するインテグリンの質的量的変化が観察された.(ロ)この変化とともに、細胞内のアクチンの動態の変化が観察された.つまり、p16の発現にともなって、ストレスファイバーの増加が観察された.(ハ)同時に、細胞外基質蛋白質内での運動性を検討し、p16の発現により運動性が増加することを示した.(ニ)p16の発現は、マトリックスメタロブロテイナーゼ活性に影響を与えなかった((3).論文投稿中).(4)細胞周期調節と(3)で示した細胞形質の変化が関連した現象であるかどうか検討するために、以前作製したサイクリンD1発現細胞に、p16を発現させ、コントロール細胞と比較した。これらの細胞は増殖能に違いはないが、(3)で観察した形質変化は観察されるので、この形質変化は、細胞周期調節から独立した現象である可能性が示唆された(論文作製中)。(5)CL-4細胞のヌードマウス移植系の作製を試みている.
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