2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671319
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
新井 一 順天堂大学, 医学部, 助教授 (70167229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 講師 (60200177)
屋田 修 順天堂大学, 医学部, 講師 (30265996)
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Keywords | 羊膜細胞 / 中枢神経 / 細胞移植 / 神経再生 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
目的:ほ乳類の中枢神経においても神経再生は存在しており、また神経再生を調節する外因性因子として神経栄養因子が重要であることが近年報告されている。とくにEpidermal growth factor(EGF)およびFibroblast growth factor 2(FGF2)は神経幹細胞の自己複製能に深く関与していることが予想されている。我々は、ラットの羊膜細胞が神経栄養因子を産生能を検討し、その脳内細胞移植実験によって培養ラット羊膜細胞が神経再生にあたえる影響を検討した。 方法:妊娠17日目のWistarラットから採取しNeurobasal Medium/B27にて一週間培養したラット羊膜細胞に関してEGF,FGF2,EGFR,NGF及びnestinの発現を免疫組織学的に検討した。脳内移植実験は培養ラット羊膜細胞を蛍光色素PKH26にて標識した後、1個体あたり2×10の5乗個の細胞を成体ラットの右大脳皮質に定位的に移植した。9週-1年間の脳切片標本を作成し形態学的および免疫組織学的に検討した。対照はsham手術群とした。 結果:培養一週間後ラット羊膜細胞は神経細胞様の形態に変化し、免疫学的検索ではEGF,FGF2,EGFR,NGFおよびnestinに陽性を呈した。脳内移植実験では移植10ヶ月後の宿主脳内において培養羊膜細胞の生着が観察された。一部の細胞は免疫組織学的検索にてEGFを発現した。また移植部位から側脳室周囲に移動する羊膜細胞が観察され、一部の細胞はFGF2を発現した。さらに脳室下帯(subventricular zone)には蛍光顕微鏡下でPKH26に標識されない内在性nestin陽性細胞の増加が観察された。 考察:培養ラット羊膜細胞は長期間、宿主脳内に生着することが確認された。また羊膜細胞の一部はEGF,FGF2などの神経栄養因子を産生することが予想された。これらの神経栄養因子により脳室周囲に存在する神経幹細胞の増殖および神経再生が修飾された可能性が考えられた。
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