1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳親和性細胞を用いた脳虚血に対する新しい治療法の開発
Project/Area Number |
10671329
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
今井 文博 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20288476)
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Keywords | ミクログリア / 遅発性神経細胞死 / 砂ネズミ / 海馬 / 一過性前脳虚血 / 遺伝子治療 / 薬剤搬送システム / サイトカイン |
Research Abstract |
我々は、これまでミクログリア(単球系由来と考えている細胞)をラットの動脈内に注入すると脳に浸入することを報告した。また、遺伝子を導入したミクログリアも血中より脳に特異的に浸入することを発見した。つまり、ミクログリアを担体として用いた脳疾患の遺伝子治療への応用の可能性が示唆され、現在"Brain targeted gene delivery system"の開発を目指している。 平成10年度の科学研究費を用いて、ミクログリアの脳内虚血病巣への遊走能を調べた。砂ネズミの両側頚動脈を5分間遮断し、1週間後に海馬(CA1)に遅発性神経細胞死が生じているのをNissle染色、TUNEL法にて確認した。この動物モデルに蛍光染色(PKH26)を施したミクログリアを注入したところ、CA1に蛍光発色した細胞が集っているのが確認された。凍結脳切片をLctin及びthymosinを用いて染色したところ、蛍光発色(PKH26)細胞すべてがLctin、thymosin陽性であったことより、海馬(CA1)に集積している細胞がミクログリアであることが証明された。つまり、血中投与した外因性ミクログリアが海馬の虚血病巣に遊走することより、ミクログリアが脳虚血疾患の遺伝子治療の担体として有用であることが証明された。 現在、我々は、INF-γ、LPSにより前処理したミクログリアを一過性前脳虚血モデルの血中に投与後、CA1のTUNEL陽性細胞をcountしたところ、コントロール(medium投与)群に比して、INF-γ処理ミクログリア投与群のTUNEL陽性細胞数が、有意に少ないことを確認した。つまり、INF-γ処理ミクログリアに神経細胞死抑制作用があることが示唆され、現在詳細を検討中である。
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Research Products
(1 results)