1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈瘤の治療に関する血行力学的検討 -流体モデルによる模擬研究-
Project/Area Number |
10671331
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
長澤 史朗 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (10144370)
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Keywords | 脳動脈瘤 / 血行動態 / 脳底動脈閉塞術 / 動脈分岐部 / 動脈合流部 / 脳血管モデル |
Research Abstract |
1、彎曲部動脈瘤の流体モデルを用いた血行動態の研究 (1) 彎曲部に発生する無症候性傍床突起内頚動脈瘤が増加しているが、その破裂頻度や血行動態は不明である。 (2) ヒト脳血管に類似したシリコンモデルを作製して、位置や彎曲程度が瘤内血行動態に与える影響を検討した。動脈瘤はサイホン部外側壁の3ヵ所に設置し、瘤内に注入した色素の半減期を血流停滞の指標とした。 (3) 半減期は、動脈瘤の位置およびサイホン角度に依存した。サイホン角度が増加すると、C2部動脈瘤の半減期は増加し、C3部動脈瘤は減少し、C2-C3移行部動脈瘤はほぼ一定の低い値を示した。これは、流れの速流成分がサイホン部外周壁に衝突する位置が変化するためと考えられた。 (4) 動脈瘤の増大・破裂やコイル塞栓術後の再発傾向が、動脈瘤の位置およびサイホン角度に依存する可能性が示唆され、未破裂動脈瘤の経過観察の際に考慮すべき点と考えられました。 2、血行動態変化にともなう血管壁のリモデリングの検討 (1) 治療的脳底動脈閉塞術では、動脈分岐部が合流部に変化し血行動態や形態変化が出現すると予想される。 (2) 40匹のラットの頸部総頚動脈の心臓側を外頸静脈に端々吻合した。 (3) 吻合により総頸動脈分岐部は合流部に変化し、血流速度は10cm/sec(頭蓋方向)から30cm/sec(心臓方向)に増加し、血流波形も定常流に類似した。一年間にわたり観察したが2週後から閉塞例が増加し、一年後の開存例は得られなかった。閉塞例では総頸動脈は索状になり、血流は外頸動脈から内頚動脈へ向かった。 (4) 血流増加による内皮増殖が細い血管腔を閉塞した可能性が高く、その他動脈の圧迫や過伸展などの影響も推測された。今後は血管径の大きな動物種を選択する必要があると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shiro Nagasawa: "Simulation of therapeutic parent arteny occlution for basilar aneuvysm"Neurological Research. 21. 180-184 (1999)
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[Publications] Shiro Nagasawa: "Arterial occlusion therapy for basilar and veitebral aneuvysm"Journal of Cuebral Blood Flow and Metabolism. 19 Suppl.1. S454 (1999)
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[Publications] 長澤 史朗: "脳底動脈巨大動脈瘤に対する親動脈閉塞術のモデル解析"Neurological Surgery(脳外). 27. 723-728 (1999)
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[Publications] 長澤 史朗: "内頚動脈傍床突起動脈瘤の手術成績と留意点"Neurological Surgery(脳外). 27. 809-816 (1999)
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[Publications] Katsunobu Yamaguchi: "Paraclinoid aneurysms of the internal carotid artery"Neruological Research. 21. 733-736 (1999)