1999 Fiscal Year Annual Research Report
難治性てんかん患者の中枢神経系の可塑性、特にunmasking現象についての研究
Project/Area Number |
10671334
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
浦崎 永一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (20203599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 貞俊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30117171)
赤松 直樹 産業医科大学, 医学部, 助手 (10299612)
和田 伸一 産業医科大学, 医学部, 助教授 (30094056)
|
Keywords | 脳 / 可塑性 / 体性感覚誘発電位 / 虚血麻酔 / 触覚・運動干渉 / unmasking / surround inhibition / patrial saturation |
Research Abstract |
【目的】成人脳での可塑性のうちunmasking現象の有無を調べるため指虚血麻酔中のSEP変化を検討し、触覚・運動干渉時の変化と対比した。さらにこれらの変化の鑑別のために高周波振動(500-900Hz)についても分析した。 【対象と方法】慢性硬膜下電極を頭蓋内に埋め込んだ難治性てんかん患者で、電極が中心溝近傍に位置した症例を選択しSEPを記録した。虚血麻酔は指電気刺激中に他指の基部に輪ゴムを巻き付けて誘導した。触覚干渉は指電気刺激中に他指に触刺激を与えたり(surround inhibition)、電気刺激と同じ指先に触刺激を与えて(partial saturation)検討した。運動干渉は指電気刺激中に他指を自発的に動かさせて調べた。 【結果】(1)指虚血麻酔によって、時間経過とともに他指の電気刺激に応答するSEPに変化が生じ、その変化は虚血解除後もしばらく持続する傾向にあった。(2)触覚・運動干渉作用によるSEP変化は虚血麻酔の時と一部類似していたが、それよりも明瞭で3b野のみでなく1野にも干渉効果が生じることが明らかにされた。(3)触覚・運動干渉と指虚血の変化を高周波振動で鑑別するのは困難であった。 【結論】指虚血麻酔によって出現した皮質記録SEP変化から、成人脳でも短時間にdynamicに変化するneural networkが存在し、一旦settingされた後はしばらく維持される可能性が示唆された。指虚血時の変化と触覚・運動干渉時のSEP変化とは一部類似性があると推定されたものの、指虚血の際には少なくとも40msec以内のSEP成分については反応野の拡大や反応増大などが明らかでなく、今回発見された皮質電位の変化とunmasking現象との関連性についてはさらに検討する必要がある。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Urasaki E 他: "Effect of transcutanecus electrical nerve stimulation (TENS) on central nerucus system amplification of somatosensory input"J Neurol. 245. 143-148 (1998)
-
[Publications] 浦崎永一郎 他: "脳死判定の誘発脳波における諸問題-短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)と聴性脳幹反応(BAEP)"検査と技術. 26. 1010-1013 (1998)
-
[Publications] 赤松直樹 他: "てんかん性失語発作の慢性硬膜下電極による検討"臨床脳波. 40. 810-813 (1998)
-
[Publications] Urasaki E 他: "Paroxysmal kinesigenic choreoalhetosis associated with frontotemporal arachnotd cyst"Neurol med chir(Tokyo). 39. 169-173 (1999)
-
[Publications] 辻貞俊 他: "難治性側頭葉てんかんの外科的治療"臨床と研究. 76. 140-145 (1999)
-
[Publications] 浦崎永一郎: "脳死判定の誘発電位検査 短潜時体性感覚誘発電位と聴性脳幹反応"脳死・脳蘇生研究会誌. 12. 56-57 (1999)
-
[Publications] Urasaki E: "Functional Neuroscience:Evoked potentials and magnetic fields"Barber C,Celesia GG,Hashimoto I,Kakigi R eds,Elsevier,Amsterdam. 330(62-67) (1999)