1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671345
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村上 正純 千葉大学, 医学部・整形外科, 助手 (50219903)
|
Keywords | NGF / BDNF / NT3 / TrkB / TrkC / 脊髄損傷 |
Research Abstract |
我々は脊髄損傷に対する治療薬としての神経栄養因子の効果を検討することを目的に、ラット脊髄圧迫損傷モデルを用いて、まず損傷時に発現される内因性神経栄養因子の役割・作用を解明すべく研究を行っている。現在までの研究の成果としては、Brain derived neurotrophic factor(BDNF)が損傷後6時間以内に増加し始め3日以降は低下してしまうことよりこれまで注目されてきた軸索再生などの修復作用よりも急性期の神経組織保護が主な作用であり、さらにこれは神経細胞のみでなくグリアにも強い発現が認められることよりこれらの細胞間に相互作用があり、これまで注目されていなかったグリアも組織保護に関与していると推測された。(以上、現在投稿中)これに対しBDNFのreceptorであるTrkBはligandと異なり損傷直後は低下傾向を示し1週以降に増加していた。これはligandの低下に反応して増加したと解釈でき、TrkBを介する反応は1週以降の修復期に盛んに行われている可能性が示唆された。TrkBはBDNFと同様に神経細胞とグリアで発現されていたが2週以降では空洞をとりまくグリア性瘢部に多数の陽性細胞が認められ、これらの反応は一方では修復反応の一つである軸索再生に疎外的に働いている可能性も危惧され解釈が難しい。またBDNFと同じNGFファミリーの一つであるNT3についても同じ手法で調べているが興味深いことにこれはBDNFと異なり損傷後1週で増加しその後、数週間にわたり高値が維持されていた。発現細胞の局在はBDNFとほぼ同じだがこの時間的変化より組織修復反応に関与しているものと推測される。現在NT3receptorであるTrkCについて実験を進めている。
|