Research Abstract |
共同研究(清島)により測定系が確立されたELISA法による可溶性Fas(sFas)蛋自をRAと診断された46例(女性)について患者背景と共に検討した。年齢は40歳から69歳(平均年齢は53歳)で,病期別ではstage I 6例,II 4例,stage III 21例,stage IV 15例である。 治療薬剤は全症例において抗リウマチ薬(BC)が投与されていた。検討項目のRF,CRPはラテックス凝集比濁法(LPIA)で,IL-6,IL-8,sIL-2RはELISA法で測定し,sFasは清島により確立された方法により測定した。 sFasと各検討項目との相関は,RF(r=-0.149),CRP(r=0.103),IL-6(r=0.219),IL-8(r=0.053),sIL-2R(r=0.567,p<0.001)であった。病期間の比較では各stage間には有意差は認めなかった。 健常者において、加齢に伴ってsFasが増加することは既に報告しているが、RA患者においても同様の結果が得られた(r=0.524,p<0.001)。すなわち,健常者を各年代別に分類した女性のsFas値は40歳代 1.94±.5ng/ml,50歳代 2.12ng/ml,60歳代 2.56±0.45ng/mlであり,RA患者では40歳代 2.5±0.74,50歳代 3.62±1.01ng/ml,60歳代 3.86±0.58ng/mlで,各年代の比較ではRA患者が有意に高値であった(p<0.01)。また,RA患者間の年代別比較では,50歳代以上と以下では,50歳代以上が有意に高値であった(p<0.001)。 血中sFasの由来についてはなお不明であるが,一般的にRA患者では,関節破壊を主とした全身的な持続的炎症が根底にあり,我々の検索結果によるsFasの上昇はこの炎症によるものと考えられる。しかしながら,従来よりRA判定基準の一つであるRFとの相関が認められていないことや,炎症の指標とされているCRPやIL-6,IL-8等のサイトカインとの相関も認められず不明な点があり、より詳細な検討が必要であると思われた。
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