2000 Fiscal Year Annual Research Report
短期免疫療法での移植を目的とした自殺遺伝子導入培養シュワン細胞移植に関する研究
Project/Area Number |
10671354
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平田 仁 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (80173243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋廻 博重 三重大学, 医学部, 教授 (60024642)
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Keywords | 培養シュワン細胞 / アポトーシス / 神経栄養因子 / 神経栄養因子レセプター / スフィンゴミエリンサイクル / アンチセンス / 軸索再生 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
当初培養シュワン細胞は神経再生において軸索の発芽、伸長を促進し、また、再生軸索進入後も生存し、髄鞘形成にも関与するものと思われていた。この為、同種培養シュワン細胞を用いて神経再生を誘導した際には免疫抑制剤の中止の為移植シュワン細胞の除去と自家シュワン細胞による置換が必要と想定され、移植シュワン細胞への自殺遺伝子の導入を試みていた。しかしながら、研究の結果移植未分化シュワン細胞の多くは短期間のうちにapoptosisを来して除去されてしまうことがわかった。この為神経再生を誘導する目的で培養シュワン細胞を用いる為にはapoptosisを抑制し、軸索再生環境を長期に維持する事の方が重要であることが分かった。そこでapoptosisのシグナルを解析し、神経栄養因子(NGF)とそのレセプター(NGFR)の高レベルでの結合がその引き金となっていることを明らかにした。NGF/NGFRの結合はスフィンゴミエリンサイクルを活性化し、細胞内セラミドの上昇を会して転写因子であるNFkBの活性化を生じてapoptosisをきたす。しかし、このシグナルは高レベルとなるとapoptosisを誘導するが、低レベルでは未分化シュワン細胞の軸索誘導活性を高めてもいる。そこでこのシグナル経路を部分的に阻害することでNFkBの過剰発現を抑制しapoptosisを制御してより軸索誘導能の高い状態を維持することを試みた。昨年までの研究ではNGFRに対する抗体、スフィンゴミエリンサイクルの阻害剤によりapoptosisへの進展を阻害できることを示したが、本年度はアンチセンスによりNGF/NGFR結合によりもたらされるシグナルを低レベルに押さえることを試みた。当初一般的に用いられるphosphorothioate化したoligonucleotideを用いたが、non-antisense効果によりシュワン細胞死が生じ思うような結果が得られなかったが、低細胞毒性antisense(詳細の公表は避けたい)の使用により高い軸索誘導能を保ったまま長期にapoptosisを抑制することに成功した。現在これを用いた人工神経の開発を行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 平田仁: "シュワン細胞のアポトーシス"骨・関節・靭帯. 13(8). 885-895 (2000)
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[Publications] 平田仁: "神経再生の足場"Clinical Neuroscience. 18(11). 35-38 (2000)
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[Publications] Hitoshi Hirata, at al.,: "Nerve growth factor regulates Schwann celleventsin peripheral nerve injury and repair through p75NTR."Orthop.Res, Trans.. 25. 841 (2000)
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[Publications] Hitoshi Hirata, et al.,: "Differentiation and apoptosis without DNA fragmentation in cultured Schw ann cells derived from Wallerian degenerated nerve."Apoptosis. 3. 353 (1999)
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[Publications] Hitoshi Hirata, et al.,: "Schwann cells can induce collateral sprouting from intact axons : An experimental study of end-to-side neurorrhaphy using a Y chamber model."Reconstructive Microsurgery. 15. 281-286 (1999)
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[Publications] 平田仁: "神経損傷に対するマイクロサージェリーのコツ"Orthopeadics. 12. 39-45 (1999)