1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671373
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
浪江 和生 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10295652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (20178031)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / 軟骨修復 / 軟骨損傷 / ex vivo / drug delivery system / 軟骨細胞移植 |
Research Abstract |
難治性の軟骨損傷に対して修復促進を目的として種々の実験的研究が行われている。その中で、軟骨細胞移植および、移植軟骨細胞の代謝活性を賦活化する方法として、成長因子を含むサイトカインの応用は有力な手段である。本研究では、関節軟骨欠損に対する軟骨細胞移植術において、局所での選択的な遺伝子発現を得る目的で、アデノウイルスベクターを用いたex vivo遺伝子導入法の有用性を検討した。ラットの関節軟骨から単離した軟骨細胞へアデノウイルスベクターを用いてLacZ遺伝子を導入した。これら細胞をコラーゲンゲルに包埋し、LacZの発現をX-gal染色およびβ-gal assayを用いて確認した。ラットの軟骨欠損モデルに対し、包埋軟骨細胞を移植し、欠損部における導入遺伝子の発現を組織学的に検討した。ゲル内のX-gal陽性軟骨細胞は遺伝子導入1週間後で82%、8週間後で55%であった。またONPG assayによるβ-galactosidase活性値は遺伝子導入3日、1,3,5,8週間後それぞれ3.94±0.14×10^4、4.13±1.14×10^4、3.38±0.60×10^4、0.61±014×10^4、0.51±0.07×10^4(unit/mg protein)であった。軟骨欠損部へ移植した軟骨細胞における導入遺伝子の発現は8週間維持された。軟骨細胞の形態は保たれ、周囲には豊富な軟骨基質が産生されていた。 アデノウイルスベクターによるex vivo遺伝子導入法を用いることで軟骨欠損部において、効率よく導入遺伝子の発現を維持することが可能であった。本法を応用し、軟骨細胞のanabolismを促進し、catabolismを抑制するようなサイトカインを軟骨損傷部分に選択的および持続的に作用させれば軟骨損傷における有用な治療法になり得ると考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Ikeda,et al.: "Ex vivo gene delivery using an adenovirus vector in treatment for cartilage defects"The Journal of Rheumatology. 27(4)(in press). (2000)
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[Publications] 久保俊一、他: "アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療"整形・災害外科. 41. 1087-1091 (1998)