1998 Fiscal Year Annual Research Report
各種基質分解酵素ならびにサイトカインが培養椎間板細胞の基質代謝に及ぼす影響
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10671382
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 一裕 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80179952)
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Keywords | 椎間板 / 細胞培養 / 細胞外基質(マトリックス) / プロテオグリカン / コラーゲン / マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP) / サイトカイン / 骨形成因子(BMP) |
Research Abstract |
今年度は研究代表者が米国留学中に研究、開発した多糖重合体アルジネートを用いた3次元懸架細胞培養法を本学内施設で再現、確立することに主眼をおいた。その後引き続きインターロイキン1(IL-1)、骨形成蛋白(Bone Morphogenic Protein-7:BMP-7)等の生理活性物質が培養椎間板の細胞外基質代謝に与える影響に関する研究にも着手した。その結果、日本白色家兎椎間板より分離した、髄核ならびに線維輪細胞はアルジネートゲル内で、3次元形態をよく保ち、活発に細胞外基質産生を行うことが判明した。また従来の実験結果からも示されたごとく、髄核、線維輪細胞ともに細胞に近接した細胞周囲領域基質ならびに細胞より離れた位置に存する領域間基質の2つの異なる分画からなる細胞外基質を形成することが確認された。細胞周囲領域基質にはDNAあたりより高濃度のプロテオグリカンならびにコラーゲンが集積した。特に線維輪細胞の細胞周囲基質においてコラーゲンの分子間架橋を形成するピリディノリンおよびデオキシピリディノリンが高濃度に集積した。また髄核細胞は主に2型コラーゲンを、線維輪細胞は1型と2型の両者を産生、細胞周囲に集積した。以上より、アルジネートゲル内に懸架された椎間板細胞はその遺伝形質発現を極めて良好に保持することが確認された。IL-1はプロテオグリカンの分解を早め、基質代謝回転を負に傾け、また逆にBMP-7は椎間板細胞による基質合成能を高め、基質代謝回転率を正に傾けることが判明した。これら生理活性物質の影響は細胞膜に近接して存在する細胞周囲基質においてより顕著であった。信頼性ならびに再現性が高い3次元細胞培養法が本学施設内において確立されたこと、また本培養法が各種生理活性物質の細胞外基質代謝に及ぼす影響の詳細な解析に適していることが示されたことは今後の研究継続に大変意義深いものと考えられる。
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[Publications] Masuda K.,Hejna M.,Talcegami K.,et al.: "Recombinant osteogenic protein-1 upregulates prokoglycan metabolism by rabbit annulus fibrosus and nucleus pulposus cells." Transaction of 3rd Conbined Orthopaulic Research Societyes Meeting, Scptember 28-30, Hamamatsu, Japan. 48 (1998)
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[Publications] Chiba K.,Masuda K.,Andeisson G.B.I.,et al: "Effect of interleukin-1α on the urnover of proteoglycan produced by annulus fibrosus and nucleus pulposus cells cultured in alginate beads" Transaction of 45th Annal Meeting,Orthopoedlic Research Society, Februay 1-4, Anehaiu, CA. 83 (1999)