1999 Fiscal Year Annual Research Report
各種基質分解酵素ならびにサイトカインが培養椎間板細胞の基質代謝に及ぼす影響
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10671382
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 一裕 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80179952)
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Keywords | 椎間板 / 髄核 / 線維論 / 細胞培養 / 細胞外基質(マトリックス) / プロテオグリカン / コラーゲン / サイトカイン |
Research Abstract |
昨年度確立したタ糖重合体アルジネートを用いた3次元懸架細胞培養法により培養した椎間板細胞の細胞外基質代謝の解析をさらに進めた。髄核、線維輪細胞ともに細胞膜に近接した細胞周囲基質ならびに細胞表面より離れて存する領域間基質の2つの分画を形成することは報告したが、今回アイソトープを用いた実験より、プロテオグリカンならびにコラーゲンの両基質分画間における集積率や移動率の差異、集積後の分解半減期などを測定し、比較検討した。さらにインターロイキン1(IL-1)等の生理活性物質がプロテオグリカン分解半減期に与える影響も検討した。その結果、プロテオグリカン、コラーゲン共に髄核細胞に比し線維輪細胞で合成が盛んであり、プロテオグリカンは主に細胞周囲に、逆にコラーゲンは主に領域間分画に集積する事が判明した。髄核と線維輪細胞では合成直後の新生プロテオグリカンの基質分画間の移動速度が著しく異なり、前者では細胞周囲から領域間分画へ急速に移動したが、後者では細胞周囲に比較的長く保持された。一方でプロテオグリカンの半減期はいずれの細胞でも細胞周囲で著しく短かく(12-14日)、細胞間領域では著しく長かった(80日以上)。コラーゲンは髄核、線維輪細胞いずれにおいても早期に細胞周囲から領域間分画に移行し、さらに急速に培養液中へと放出された。一方で細胞周囲に残存したコラーゲンは定常状態となり著しく長く半減期を有していた。IL-1は髄核、線維輪細胞いずれにおいても細胞周囲分画のプロテオグリカン分解半減期を選択的に短縮させた。髄核細胞で細胞周囲よりプロテオグリカンが早期に失われることは椎間板変性が髄核部より始まることの一因とも考えれらた。また、加齢によってもIL-1による細胞周囲分画を主とした基質分解亢進と類似した変化がみられることより、IL-1を含めた何らかのサイトカインが椎間板の加齢現象ひいては変性に関連している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 千葉一裕,戸山芳昭ほか: "椎間板変性の病理生理学"脊椎脊髄ジャーナル. 12. 471-475 (1999)
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[Publications] Chiba K.,Masuda K.,et al.: "Effect of interleukin-1 on turnover of proteoglycan synthesized by intervertebral disc cells cultured in vitro"Proc,26th Annual Meeting of the International Society for the Study of the Lumbar Spine. 179A (1999)
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[Publications] Masuda K.,Takegami K.,et al.: "Effect of recombinant osteogenic protain-1 on proteoglycan and collagen synthesis by rabbit intervertebral disc cells"Proc.14th Annual Conference of the North American Spine Society. 190 (1999)
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[Publications] Takegami K.,Masuda K.,et al: "Effect of osteogenic protein-1 on proteoglycan replenishment following Chondroifinase ABC induced chemonudeolysis of the matrix of cultured intervertebral cells"Proc.14th Annual Conference of the North American Spine Society. 189 (1999)
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[Publications] 千葉一裕、舛田浩一ほか: "インターロイキン-1が培養椎間板細胞のプロテオグリカン代謝に及ぼす影響に関する実験的研究"日本整形外科学会雑誌. 73. S1756 (1999)
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[Publications] 千葉一裕、戸山芳昭ほか: "培養椎間板細胞の細胞外基質代謝に関する基礎的研究"第13回軟骨代謝学会抄録. 38 (2000)