1999 Fiscal Year Annual Research Report
重症患者の腹腔内臓器血流と消化管粘膜機能維持に関する研究
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10671400
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
国元 文生 群馬大学, 医学部, 講師 (70125847)
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Keywords | 心臓手術 / 体外循環 / エンドトキシン / 肝静脈血酸素飽和度 / 動脈血ケトン体比 / 胃粘膜pH |
Research Abstract |
冠動脈再建術または弁置換を受けた29名を対象とした。CPB開始前,CPB開始30分後,CPB終了直前,手術終了時,ICU入室6時間後,第1病日の時点で中心静脈酸素飽和度・肝静脈血酸素飽和度(ShvO2)、動脈血ケトン体比(AKBR)・肝静脈血ケトン体比(HVKBR)、動脈血・肝静脈血エンドトキシン濃度、胃粘膜pH(pHi)を測定した(平均値土標準偏差)。体外循環は低温化に2.2±0.1L/min/m2で行った。術後心係数は徐々に上昇し、ICU入室時3.3±0.6L/min/m2、ICU24時間後3.4±0.7L/min/m2と安定していた。肺血管抵抗、体血管抵抗はICU24時間後まで徐々に低下を示した。術前62.7±2.1%であったShvO2は,CPB開始30分後には88.3±3.3%に上昇し、復温時には40.2±5.6%と術前に比べて有意に低下した。術前1.14±0.36てあったAKBRは,CPB開始30分後には0.28±0.03と低下し,復温時も低値のままであった。CPB終了60分後より1.00±0.14と上昇しはじめ,以後ほぼ同じ値で推移した。HVKBRはAKBRと同様の推移を示したが,とくに復温時には術前に比べて有意に低下した。動脈血,肝静脈血ともに術当日のエンドトキシン濃度には変化が少なく,正常範囲内でした。動脈血及び肝静脈血エンドトキシン濃度は第1病日にともに正常上限をこえたが第2病日に低下した。また両者に群間の有意差を認めなかった。胃粘膜pH(pHi)は、麻酔導入後7.45+/-0.05、CPB60分後7.559+/-0.1と高値を示したがCPB終了直前より低下を示しICU入室時は7.223+/-0.01と著明に低下した。胃粘膜pHは徐々に上昇しICU24時間後に正常下限とされる7.32をこえた。低温体外循環時腹腔内臓器還流の低下が示唆される。
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