1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳脊髄神経系の障害部位別の心臓自律神経活動の変化に関する研究
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10671417
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 昌志 広島大学, 医学部, 助教授 (40127642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 昌三 広島大学, 医学部, 助手 (50294559)
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Keywords | 心拍変動 / 周波数解析 / 周波数応答 / インパルスレスポンス / 脊髄損傷 / 脳幹損傷 |
Research Abstract |
背景:心臓自律神経機能は脳幹死でその機能を停止するが,そうなるまでの廃絶の課程で,頭蓋内あるいは脊髄の病変部位別に異なった挙動を示す. 目的:本研究では実験的に障害部位別の心拍,血圧,呼吸の連関に及ぼす影響を調べる.この方法を用いて臨床的には麻酔下での病態生理を調べる. 方法:頭蓋内圧亢進と脊髄損傷の2カ所の障害部位を持つ実験モデルを作成し,損傷部位別の心臓自律神経活動に与える影響を調べた.実験結果は頚髄損傷後に脳幹障害を与えた群と,その逆順の群の2群で比較した.心拍変動と動脈圧変動は心電図R-R間隔と動脈圧の時系列データを周波数解析し,同時に測定した心拍,血圧,呼吸の3者間の周波数応答を求めた.障害部位の血流途絶は色素マイクロスフェアーにより測定した. 結果:心拍変動解析からみると,頚髄損傷がまず発生すると障害時に交感,副交感神経活動は亢進するが脳幹障害を起こしても変化しない.しかし圧変動解析では前者では変化がみられず後者で著しい.一方,脳幹障害が最初に生じると,心拍変動,圧変動解析のいずれによっても交感,副交感神経活動は亢進するが,頚髄損傷では変化しない.しかしいずれの手順でも2カ所の障害部位を生じた後では両者の差は見られない.臨床的には脊椎麻酔下の病態生理が脊髄損傷モデルに近似される. 結語:障害部位の発生順序によって心拍変動と動脈圧変動が示す交感,副交感神経活動に差がある.心臓自律神経活動を制御している脳幹,脊髄にはそれぞれの部位に固有の機能があることが示唆される.
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