1998 Fiscal Year Annual Research Report
術中循環変動の危険因子を検出するための術前自律神経機能検査法の研究
Project/Area Number |
10671423
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
志茂田 治 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40187480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 義浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (90264308)
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Keywords | 術中循環変動 / 交感神経性皮膚血管運動反射 / 圧反射感受性 / 周波数解析 |
Research Abstract |
解析プログラムのカスタマイズに時間を要したため,平成11年2月末日現在で,手術予定患者37名(40〜89歳)を対象に研究した。術前,(1)交感神経性皮膚血管運動反射(以下SVmR)を誘発し血流減少比を計測,(2)圧反射感受性(BRS)と血圧(SBP-LFC)・心拍変動(RR-HFC)の周波数解析,で自律神経機能を評価した。術前合併症としては,高血圧症(HT;41%),糖尿病(DM;32%),肺機能障害(28%)が多かった(重複も含む)。SVmR振幅は全体で平均0.48,HT/DM合併で平均0.15,HTで平均0.35,DMで平均0.31とHT/DM合併で反射性血管収縮が減弱していた。BRS(単位ms/mmHg)は全体で平均8.9,HT/DM合併で平均5.7,HTで平均6.5,DMで平均5.1であり,これらの疾患を有する患者では圧反射感受性が低下していた。SBP-LFC(単位ms^2)は全体で平均11.2,HT/DM合併で平均4,5,HTで平均15.1,DMで平均6.1とHTでは交感神経活動の亢進が認められた。RR-HFC(単位ms^2)は全体で平均18.3,HT/DM合併で平均8.5,HTで平均10.1,DMで平均7.8とDMでは迷走神経活動の抑制が認められた。麻酔導入直前から手術開始までの,麻酔そのものによる循環変動は,64%の患者で20mmHg以上の血圧低下を認めた。心拍数は52%の患者で気管内挿管時に20bpm以上の増加を認めた。血圧低下はHTにおいて著しかったが,術前SVmR振幅が0.5以上であった症例では麻酔後の血圧低下は少ない傾向が見られた。 現在,調査症例数が増加中であり,次年度は相関検定を加え詳細に検討する。この研究の有用性の概念は一部業績(1)で発表したが,結果の一部は次年度の日本臨床麻酔学会で報告する予定である。
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Research Products
(1 results)