2000 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄内NMDA受容体を介して起こる痛覚過敏のメカニズムの研究
Project/Area Number |
10671430
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
比嘉 康敏 琉球大学, 医学部・附属病院, 助手 (00228701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高良 到 琉球大学, 医学部, 助手 (60305208)
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Keywords | ラット / 脊髄 / 痛覚過敏 / グルタミン酸 / NMDA |
Research Abstract |
平成12年度には11年度の追加実験を行いデータ解析を行った。 【方法】1)くも膜下腔へのカテーテル挿入:エンフルラン麻酔下にラットの大槽を切開し,くも下腔内に薬物投与用のカテーテルと自作のマイクロダイアリーシス用ループ型カテーテルを挿入した。術後5日目に以下の実験を行った。2)NMDAのくも膜下持続注入:くも膜下カテーテルより生理食塩水で溶かしたNMDAを10μl/minの一定の速度で注入する。NMDA濃度は180pmol/minの量となるよう設定した。3)痛覚閾値の測定:UCSD式のラット足底熱刺激装置を用いて,足底部に熱刺激を加えてからラットが足を上げて逃避するまでの時間を測定し,これを痛覚閾値とした。測定はNMDA注入開始前と開始後5分毎に測定した。4)マイクロダイアリーシスによるグルタミン酸の測定:マイクロダイアリーシス用カテーテルから人工髄液を灌流し(10μl/min)、NMDAのくも膜下持続注入開始前と開始後10分間毎に採取した回収液中に含まれるグルタミン酸を高速液体クロマトグラフィーで測定した。 【結果】1)NMDA(180pmol/min)のくも膜下注入開始10分後には逃避時間が約35%短縮した。この痛覚閾値低下はNMDA注入の間一定に持続し、NMDA注入中止10分後にコントロール値に復した。2)脊髄CSF中グルタミン酸濃度はNMDA注入開始10分後から上昇し、30分後にはピークに達し、対照群と比較して30%増加した。グルタミン酸濃度はNMDA注入の中止により、30分でコントロール群と同程度となった。 【結論】以上の実験結果から、NMDA受容体の活性化は脊髄内グルタミン酸濃度を上昇させることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Manabu Kakinohana,Yutaka Taira, et al.: "Intrathecal Mu and Delta, but not Kappa agonists, can induce spastic paraplegia after non-injurious interval of spinal cord ischemia in rats."Anesthesiology.. Vol 93. A784 (2000)