1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラット胸部大動脈遮断後の虚血性脊髄障害に対するモルヒネの悪影響に関する研究
Project/Area Number |
10671431
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
奥田 佳朗 琉球大学, 医学部, 教授 (10026883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 泰蔵 琉球大学, 医学部・附属病院, 助手 (50264495)
平良 豊 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (60144721)
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Keywords | 脊髄 / 虚血 / ラット / 痙性対麻痺 / モルヒネ / 脊髄障害 / グルタミン酸 |
Research Abstract |
平成10年度には、虚血性脊髄障害に対するモルヒネの悪影響について神経伝達物質放出と病理組織学的検討にて調べた。 1. 短時間脊髄虚血後のくも膜下モルヒネ投与による痙性対麻痺の作成 雄Sprague-Dawleyラットを用い、2Fr.Fogartyカテーテルによる胸部大動脈遮断と近位側大動脈圧を40mmHgに調節しこれを6分間維持することにより非障害性短時間脊髄虚血モデルを作成した。このラットに、予め置政していた腰部くも膜下カテーテルから30μgのモルヒネを投与し一過性痙性対麻痺を作成した。 2. 痙性対麻痺ラットの脊髄神経病理組織の経時的評価 モルヒネ投与により痙性対麻痺を来したラットを経時的(モルヒネ投与前、投与4、6、8、24時間後)に犠殺し4%パラフォルムアルデヒドにて固定した。その後パラフィン切片を作成しクレシルバイオレット液とルクソールファストブルー液にて染色した(Kluver-Barerra染色)。 【結果】モルヒネ投与後6時間目から暗染色された脊髄前角細胞が出現し、経時的にその数の増加を認めた。 3. 痙性対麻痺ラット脊髄におけるグルタミン酸放出(第45回日本麻酔学会) 脊髄くも膜下腔内にループ型マイクロダイアライシスを留置したラットを用い、1.により痙性対麻痺を作成した。その後経時的(モルヒネ投与前、投与1,2,4,6,8,24時間後)にダイアライシス液を採取しHPLCにてグルタミン酸濃度を測定した。 【結果】虚血無しラットにモルヒネを投与した群、虚血後に生理食塩水を投与した群と比較し、虚血後モルヒネを投与したラットでは脊髄からのグルタミン酸放出が増加しそれは痙性麻痺の消失と同様に減少していった。 【総括】以上の結果から、脊髄虚血後にモルヒネが作用すると痙性対麻痺が一過性に起こるが、脊髄前角細胞では神経障害を示唆する変化が数時間後から出現していることが明らかになった。さらに、脊髄からは痙性対麻痺の変化と同様にグルタミン酸の放出が増加しており、これにより脊髄神経障害を増悪させる可能性が示唆された。
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[Publications] Yoshiaki Okuda,Yutaka Taira: "The exacerbating effect of intrathecal morphine on neurological function after spinal cord ischemia in rat." Journal of Anesthesia. 12,Supp. 589-589 (1998)