1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラット胸部大動脈遮断後の虚血性脊髄障害に対するモルヒネの悪影響に関する研究
Project/Area Number |
10671431
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
奥田 佳朗 琉球大学, 医学部, 教授 (10026883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹良 剛史 琉球大学, 医学部・附属病院, 助手 (80225903)
平良 豊 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (60144721)
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Keywords | 脊髄 / 虚血 / ラット / 非可逆性対麻痺 / モルヒネ / 脊髄前角細胞 |
Research Abstract |
平成11年度には、虚血性脊髄障害に対するモルヒネ反復投与の影響について神経学的運動機能と病理組織学的検討にて調べた。 1.短時間脊髄虚血後のくも膜下モルヒネ反復投与による神経学的運動機能の評価 雄Sprague-Dawleyラットを用い、2Fr.Fogartyカテーテルによる胸部大動脈遮断と近位側大動脈圧を40mmHgに調節しこれを6分間維持することにより非障害性短時間脊髄虚血モデルを作成した。 このラットに、予め留置していた腰部くも膜下カテーテルから30μgのモルヒネを虚血後1時間目と5時間目の反復投与した。神経学的運動機能の評価を経時的に虚血後72時間まで行った。 【結果】虚血後の神経学的運動機能は、虚血後歩行可能であったラットがくも膜下モルヒネ投与により痙性対麻痺を示した。くも膜下モルヒネ単回投与されたラットではその痙性対麻痺は一過性であり虚血後72時間目には正常歩行が可能であったが、反復投与されたラットでは痙性対麻痺は虚血後72時間目まで継続し非可逆的な神経障害を残した。 2.短時間脊髄虚血後のくも膜下モルヒネ反復投与ラットの脊髄病理組織学的検討 短時間脊髄虚血後のくも膜下モルヒネ単回投与、反復投与、生食投与ラットを虚血後72時間目に犠殺し4%パラフォルムアルデヒドにて固定した。その後脊髄のパラフィン切片を作成しクレシルバイオレット液とルクソールファストブルー液にて染色した(Kluver-Barerra染色)。 【結果】生食投与群の脊髄は正常所見であった。モルヒネ単回投与ラットの脊髄では複数の脊髄前角細胞の暗染色化がみられた。一方、モルヒネ反復投与ラットでは脊髄前角細胞の減少が明らかにみられた。 【総括】以上の結果から、たとえ非障害性短時間脊髄虚血でもその後にくも膜下モルヒネを反復投与すると非可逆的対麻痺が発生する。病理組織学的評価から脊髄虚血後のくも膜下モルヒネ反復投与による脊髄前角細胞の選択的な障害がその原因になっていることが明らかとなった。
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[Publications] Yoshiaki Okuda,Yutaka Taira: "The effect of 5-aminovaleric acid on spastic paraplegia induced by IT morphine after non injurious interval of spinal cord ischemia in the rat."Journal of Anesthesia. 13,suppl. 268-268 (1999)
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[Publications] Yoshiaki Okuda,Yutaka Taira: "Repetitive Intrathecal Administration of Morphine Induces Irreversible Paraplegia after Non-injurious Interval of Spinal Cord Ischemia in the Rat."biologia. 54,suppl 6(in press.). (1999)