1999 Fiscal Year Annual Research Report
エンドセリンの接着分子発現に及ぼす影響と急性肺損傷の治療への応用
Project/Area Number |
10671446
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森田 茂穂 帝京大学, 医学部, 教授 (60143476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 幸子 帝京大学, 医学部, 助手 (20276710)
高田 真二 帝京大学, 医学部, 助手 (90226788)
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Keywords | 接着分子 / 急性肺障害 / エンドセリン / 一酸化窒素 / 核内転写因子 |
Research Abstract |
エンドセリンは、血管内皮細胞が産生する血管収縮ペプチドであり、虚血心筋、動脈硬化、人工心肺後、急性肺損傷、肺高血圧症などの病態で増加することが知られている。一方、これらの病態では、白血球が血管内皮細胞に接着することが重要なステップとして知られている。本研究の目的は、血管内皮細胞の表面に発現する接着分子に対するエンドセリンの生理的作用を解明することにある。昨年度の研究で、細胞レベルでの検証を行い、今年度は引き続きin vitroでの実験を行った。さらに、その結果をもとにマウスの急性肺障害モデルを用いたin vivioでの検証を行い、以下の結果を得た。 1.HPMVECを刺激しない状態では、生理的濃度範囲内では、ET-もNOもICAM-1の発現に影響を及ぼさない。 2.HPMVECをエンドトキシンで刺激すると、ICAM-1の発現量が3-4倍程度増加する。 ET-1はICAM-1発現の増強に影響を及ぼさない。しかし、NOはエンドトキシンで刺激されたICAM-1の発現を最大で40-60%程度抑制する。 3.NOによるICAM-1発現の抑制作用のメカニズムとして、NF-_KBという核内転写因子の核内移行を阻止することが示唆された。 以上の結果は、NOが急性肺障害の治療に、肺血管内皮細胞の活性を抑えるという面から有効である可能性を示唆する。さらに、サイトカインなどの反応性炎症物質の産生を遺伝子レベルで調整する因子NF-_KBが、急性肺障害の治療のターゲットになりうると考えられる。この結果は、The impacts of endothelin and nitric oxide on the endotoxin-induced pulmonary ICAM-1production:role of NF-_KBのタイトルで現在Anesthesiologyに投稿中である。
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