1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規オピオイドペプチド・ノシセプチンの痛覚発症機構の解明
Project/Area Number |
10671450
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
今西 敏博 関西医科大学, 医学部, 助手 (70098119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦高 恵美子 関西医科大学, 医学部, 講師 (50291802)
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Keywords | オピオイド / ノシスタチン / シセプチン / オーファニンFQ(Noc / OFQ) / アロディニア / 痛覚過敏反応 / カプサイシン / ホルマリンテスト / 髄腔内投与 |
Research Abstract |
オピオイド受容体μ、κ、δの類縁体であるノシセプチン・オーファニンFQ(Noc/OFQ)受容体の内因性リガンドとして、ウシ脳から17個のアミノ酸からなるオピオイドペプチド・Noc/OFQの単離同定に成功した。我々は鎮痛作用を有するオピオイドペプチドとは反対に、髄腔内投与したNoc/OFQが痛覚過敏反応とアロディニアを誘発することを示した。Noc/OFQ前駆体蛋白質上にNoc/OFQの痛覚過敏反応とアロディニアを抑制する17個のアミノ酸からなる新規生理活性ペプチドが存在することを見いだし、ノシスタチンと名づけた。今年度はNoc/OFQの痛覚発症機構並びに伝達経路を明らかにするために、痛覚の実験を行い以下の知見を得た。1)Noc/OFQの痛覚過敏反応とアロディニアの誘発がモルヒネで抑制されること、2)痛覚過敏反応がサブスタンスPを介するのに対し、アロディニアはグルタミン酸を介すること、3)生後2日目と5日目にカプサイシン処理を行い、C線維を除去した生後4週目のマウスではNoc/OFQの痛覚過敏反応だけでなく、予想外なことに、アロディニアも誘発されないこと、4)カプサイシン処理により、C線維に含まれるサブスタンスP含量が減少したのに対し、Noc/OFQの含量とNoc/OFQ受容体の性質は変化しないことを明らかにした。アロディニアは触覚刺激がAβ線維を介することから、これまでアロディニアもAβ線維を介すると考えられてきたが、本研究でNoc/OFQのアロディニアがAβ線維ではなく、カプサイシン感受性の一次求心性線維を介することが初めて証明された。さらに、5)ホルマリンテストで、低用量のNoc/OFQが痛みを増強するのに対し、ノシスタチンは痛みを抑制することを明らかにし、Noc/OFQとノシスタチンの痛覚反応が一般化できることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Minami,T.: "Involvement of primary afferent C-fibers in touch-evoked pain (allodynia) induced by prostaglandin E_2."Eur.J.Neurosci.. 11. 1849-1856 (1999)
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[Publications] Lee,T.-L.: "Indetification of human,rat and mouse nocistatin in brain and cerebrospinal fluid."NeuroReport. 10. 1537-1541 (1999)
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[Publications] Nakano,H.: "Effect of intrathecal nocistatin on the formalin-induced pain in mice versus that of nociceptin/orphanin FQ."J.Pharmacol.Exp.Ther. 292. 331-336 (2000)
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[Publications] Minami,T,: "Characterization of nociceptin/orphanin FQ-induced pain in responses in conscious mices:neonatal capsaicin treatment and NMDA receptor GluR ε subunit knockout mice."Neuroscience. (in press). (2000)
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[Publications] Ito,S.: "Central role of nociceptin/orphanin FQ and nocistatin:allodynia as a model of neural plasticity."Progress Brain Res.-Nervous system plasticity and chronic pain. (in press). (2000)
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[Publications] 伊藤 誠二: "内臓痛の分子機構"診断と治療. (in press). (2000)